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極楽蝶華
完治ねつ造
 




がたがたがたんっ



音がした方に目をやると……4つある個室のうち一つから、点滴立て引きずって獅子緒が飛び出して来ていた。


「あれ?……獅子緒確か寝てなかったっけ……?」


斎の疑問は空に飲み込まれる。



「……〜〜ッユウ!!」

「あぁっ!!もう、この……馬鹿!!大怪我してんのにそんな活発に動き回るんじゃねぇ!!」

びしっ

「会いたかったぁ〜〜ッ
……昨日も今日も外出禁止でずーっと淋しかったんだよぉッ」


チョップにもめげない圭介。

手の怪我も忘れて悠紀仁の事をぎゅうぎゅう抱きしめ、満面の笑みだ。


『…………。』


一方隆也はさっきまでの笑顔も消えて刺(し殺)す様な目で圭介を睨んでいる。


『……いい加減離れないか獅子緒。』


べり、と音がするほど勢いよく首根っこ掴まれて引きはがされる。

衿の後ろを持たれた圭介が、不満たらたらの目で隆也の方を怨みがましく睨んで手を振り払った。


その引きはがされた拍子に隆也の腕の中に抱き留められた悠紀仁が、一瞬ほうけた後いきなり慌てて大きめの声を出した。

「た……隆也さんッ!!
駄目ですよ怪我してるのに!!何やってるんですか!!」


自分を抱き留めていた腕から急いで離れて、シャツの袖から包帯の覗く上腕の辺りに心配そうに手を充てて隆也の顔を覗き込む。


『大丈夫です。
まだ多少痛みはしますが日常生活に支障はありませんし。』


……自分の中では多少、かもしれないが常人にはとてもじゃないが耐え切れないぞ。
それで日常生活やら、先ほどまでみたいに仕事までするんだからアレだ。


……村上サイボーグ説再浮上。(嘘)


「ホントに、大丈夫ですか?」

『えぇ、平気ですよ。
怪我も……2〜3日で治りますし。』


嘘付け全治2〜3週間。

断絶した筋繊維はそんなに早くくっつきません。
少なくとも日常生活送るにはまだまだ時間が必要な筈だ。

勝手に時間の単位一つ小さくしちゃダメだろう。

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あきゅろす。
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