極楽蝶華
2
「……それと一緒に、大量の菓子類買い込んで行きました。
……あの春日さんが。」
「……マジ?」
不動が菓子嫌い、と言う話は今は有名である。
中等部の時、バレンタインデーの時知らずに渡してきた相手に、
「俺は甘いもんのニオイがマジ嫌ぇなんだよッ。」
と来る人来る人大声で追い返していたからだ。
以来彼には糖分を含んだ贈り物をする者はいない。
ならお前、悠紀仁はどうした。と言いたいところだが。
好きな子からするならそれは【美味しそうな匂い】になるらしい。
身勝手な。
「……で、その量が尋常じゃ無かったんですよ。
ホラ、ユウちゃんも甘いもの好き、しかも大量に食べるんで有名じゃないですか。」
食堂で見せる尋常じゃない食べっぷりはこんなところでも噂のようだ。
「……じゃあ、相手ユウちゃん?!」
「……じゃないですか?
てか春日さんがわざわざ、自分で買っといてあげるなんて……よっぽどの執着だし……」
「……いーなぁ春日……」
「……やっぱいい男のとこにしか可愛い子って寄り付かないんですよね……」
「……いーなぁ春日……」
「センパイ本気でうなだれないでくださいよ。
いいじゃないですか別次元の話だし。どうせ俺らにはユウちゃんなんて手が出せない高値の花なんですから。」
「……いーなぁ春日……」
「…………。」
正直、……ちょっとウザイ。
とか思ったとか思わないとか。
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