極楽蝶華
餌付け
『え?』
ディスプレイに写った相手の名前を見て、急いで通話ボタンを押した。
『悠紀仁……?』
今マナーじゃ無かったら、コイツがふざけてダウンロードした隣のトトロのエンディング曲が流れてる筈だ。
ガキっぽいよな。そんなとこも可愛いけど。
……まぁそれを悠紀仁の着信設定にしてる俺も俺なんだが。
ちなみにアドレス帳のフォルダは、【親族】【類】【がっこの類】【がっこ】【ダチ】【大切】
で区切ってある。
類、っつーのは、アレだ。【類は友をなんちゃら】
の、類。
その名の通りガラの悪い馬鹿ばっか。
新設したダチ、のフォルダには誠達のアド。
がっこ、には生徒会の奴ら
これも新設だが大切、のフォルダには……悠紀仁しか入ってない。
まぁ当然だな。
……自分でやっといてちょい恥ぃが。
[ふど?……何かイイ事あったん?]
あ、ヤバ顔ニヤケっぱなしだった。
『あぁ、……今トーク番組見てて。それよりどうした?』
ホントはお前の事考えててニヤニヤしてた。
(←危)
[あのさぁ、俺ちょっとレオの様子見てくるわ。見舞いに。
なんか電話かけたら隆也さんもレオんとこいるみたいだし。二人とも結構重傷だから心配でさ。
……昨日は連絡取れなかったから見舞い無理だったし。]
『そっか……あんま遅くなんなよ?帰りは村上先輩に送って貰えな?』
まぁあの人なら悠紀仁の事一人にする訳ねぇだろうけど。
[アハハ……子供扱い。不動、心配性スギ。過保護だな。]
『言ってろ。』
そんくれぇ、そんな思うくれぇ、お前の事好きなんだよ。……気付け。
『じゃあプレ2は片さねぇで待ってるな。
コンビニで何か買っといてやろうか?』
[じゃあ、不動きのこの山買ってー。……あとじゃがりこ。チーズ味。]
『はいよ。』
[じゃ、また後でなー。]
『おう。』
ぷつん。
……さーてと。
俺の愛しい愛しいお姫様の為にコンビニに行って来ますかね。
ついでにアイツが好きな苺ポッキーも買っといてやろう。
アレなら餌付けみたく俺の手から食わせられるし。……まぁじゃがりこもそうなんだけど、苺ポッキーのが図柄的に可愛いじゃん。
さてさて、買い出し……
じゃらん、と財布とカードキーを持って部屋を後にする。
コンビニ、とは名ばかりのほぼスーパーに足を運んだ。
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