極楽蝶華
「わんこ」らしいよ。
「あっ……
……そうだヤバイ忘れるところだった。」
『何。』
「ホラ、悠紀仁俊に【頼み事】の中身言わなかったじゃん。
多分口に出して言う事じゃない、とか思ったんじゃねぇかな。」
『あー……春日にも言ってねぇだろうから部屋で死ぬほど猛に嫉妬してんだろうな。』
あの犬っころ。
「頼み事、がさ、【問題起こした奴の処分の軽減】じゃん。人に言えなかっんじゃね？」
『常識で考えるとなー。』
この学園の外の、一般常識。
「……でもまぁ、可愛いよねー。周りの事気にして黙って一人で抱えて……
俺に言えばすぐに力になってあげるのにもー。」
『【助けてやる】って恩着せがましく考えねぇところもアイツらしいよな。』
「あー、よくいるよね。
揚げ句【これでもか】とばかりに周りに自分のしたこと言い触らしたり。
そーゆー偽善者。」
『それ【善意】って言わねーよ、みたいな。』
「【自己愛】ですけど〜？
お前それ【褒められる自分】が好きなだけだろ？ってやつで。
……と、電話電話。」
あぁ……忘れるところだった。
「わんちゃんが心配しないようにお帰りコールしてやんなきゃねぇ〜……っと。」
『ぶっ』
「きったねぇーな吹き出すなよ俊。」
『お前がいきなり変な事言うからだろ。』
アイツがわんちゃん、なんてガラかよ。
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