極楽蝶華
イイコト
「……そーだオニィチャン良い事教えてあげるよ。」
『……何。』
良い事、と言いつつ何でお前そんな消沈顔なんだよ。
「悠紀仁の【お願い】の内容。」
『……是非とも聞かせろ。』
でも話して良いのか?それ。
「……黒河さんにあんまり厳しい処分与えないでください、って……」
『…………は?』
黒河、って……
…………うい、か?
「何かねー……こんな偏差値高い学校で罰受けたら将来潰れたも同然で可哀相だから、らしいよ……」
……つーか
『そもそもそのみせしめの意味あっての罰則じやねぇか。』
「ホラ、黒河が俺の腕刺したの悠紀仁庇ったからじゃん。
……だから、【自分の所為で】って重く考えちまってんじゃねぇの?」
『むしろ悠紀仁が怪我してたら退学じゃ済まさねぇよ。』
「……そーなんだけどなぁ。
……獅子緒とかのが問題起こしてるけど、今回は……黒河は、悠紀仁に怪我させようとしちまったからな。
生徒同士の喧嘩ならともかく、無抵抗の相手にいきなり……しかも、武器まで使ってるからな。」
そうなんだよな。
傷害事件……怪我の程度だけ見るなら、獅子緒や春日や……俺とか、のがもっとアレだけど。
『実際問題公立校なら誰が相手でも、事実だけ見たら警察に通報されててもおかしくない事件だし、普通の私立でも退学か、よくて数カ月の停学。
……まぁ、誰も怪我が無かったとしても、危険思想持ってるって分かった奴を同じ学校なんざに置いておけねぇけどな。』
「もっかい起こらねぇとは限らねぇしな。
俺らの怒り買ったって分かってるだろうし、捨て身になって今度こそ悠紀仁本人に何らかの被害を加える可能性も高い。」
俺らが出来ることなら、……してやれる事なら、何でもしたい。
前以て省ける要因が少しでもあるなら、一つも残したくねぇ。
「……なぁ俊、悠紀仁に嫌われるのと黒河に監視付けるのとどっちがいいかな。」
『やめとけ不安材料は黒河だけじゃねぇんだから。俺らに惚れてる奴ら全員が予備軍だろ?
お前が気に病む事じゃねぇよ。』
対象が多すぎっから。
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