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極楽蝶華
え、再開。
 


……あ……やべ……

ついついいつもの通り不機嫌丸出し&ガン飛ばしてしまった。

ダメだ。ダメだよ、俺。まだ学園の敷地内にすら入っていないのに問題起こすとか。
自慢できない最速記録作っちゃうよ。



あれだよきっとさっきチームの事思い出してたカラだよ。抜ける、と告げたときの電話の向こうの半狂乱のあいつらの声がまだ耳に残ってるんだも。
普段仕様で反応しちまったのもいつもの癖だ。



……いや、違う違う。今の俺は優等生。
不良モードを引っ込めて下手に咳なんかしてごまかしてみたり。

『思い出し笑いですよ』

顔を上げて相手を見て、さっきの事はなかった事にしてみようと猫を被り直した。


いつの間にか門が開いていたらしい。俺はまた意識を成層圏に飛ばしていたようだ。あはは。もう笑うしかねーや。
この猛暑が悪いんだよ猛暑が。

まぁとりあえず、相手を見て思わずやっちまったんだよ俺は。また。



『シュン……?』



呟いた一言に、途端相手の顔色が変わった。


視界の端から相手の手が飛んできた。それに脊髄反射で振り払いそうになったのを途中でやめた。今の俺は優等生。喧嘩しない。機敏な反応もできない。



胸ぐら捕まれて間近……3cm先まで迫って鼻突き合わされて目の前で凄まれた。
あぅ……顔綺麗な人が切れると2倍増しで恐ろしいな……


「・・・・てめぇが何で知ってるんだ。その呼び名……」


地を這うようなぞろぞろした低音に意識せずとも脳幹が冷えた。
この、日本刀みたいな、殺気。


ホールドされてチョーパン(頭突き)食らわされそうになって鳩尾に蹴り入れて投げ飛ばしたあの初対面。

それ以降つけ回されて顔合わせるたびギラギラ睨まれてたあの日々がありありと思いだされた。
・・・・・・・もしかしてそれがまたここで再現されるとかそんなオチ?やめてよねぇコイツ喧嘩強いんだから。

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あきゅろす。
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