隣のクラスの坂田くん
―――思い切って相談してみようと思ったのだ。
「私、好きな人が出来たんだけど」
幼馴染の総悟を目の前にして、私はドキマギと話を切り出す。
制服のスカートの襞に何度も手でアイロンをかけて話を一向に進めようとしない私を見かねた総悟が、ストレートな質問を私にぶつけた。
「へえ、誰?」
隣のクラスの坂田くん
「そりゃあ、意外。俺もよくはアイツのこと知らねェけど、前はあの高杉達とツルんでたって話だぜィ?アチコチで喧嘩吹っ掛けて暴れまわってたって聞いたが…まあ、昔の話だけどねィ」
「坂田くんはね、いい人だと思うよ」
「何を根拠に」
「女の勘」
「さいですか」
「ねえ、話しかけてみたいんだけどさ、何て言えばいいかな」
「はァ?話したこともねェのかィ?」
「ないよ」
「それでも好きってェのか?」
「うん。悪い?」
「わ、悪かねェけど。じゃあなんで好きになったんでィ」
「秘密」
「さいですか」
「ねえ、だから。なんて話しかければいいかって話」
「話題、か。っても、クラスも委員会も部活も違う野郎に話すきっかけなんざなかなか…」
「もうすぐ坂田くんの誕生日なんだよね」
「おお。いいじゃねェかソレ!誕生日おめでとう的な。誕生日プレゼント渡して告っちまえよ」
「なんだその急展開」
「あ、駄目?」
「駄目っていうか、いきなり話しかけた上プレゼント押しつけて告白って、軽く嫌がらせだよね。誰コイツみたいな」
「俺はそういうサプライズ好きだけどねィ」
「アンタの好みは聞いてない」
「さいですか」
「ううむ。やっぱ誕生日がチャンスかな」
「そうだねィ。まあ、無難だしいいんじゃねェかィ?で、いつ?」
「何が?」
「だから、アイツの誕生日」
「知らないよ」
「は?」
「もうすぐだってことは知ってる。てんびん座みたいだから、9月24日から10月23日の間のハズ」
「なんだそのアバウトな情報。つかなんで星座だけ知ってんでィ」
「この間、携帯の占い見て『くそっ!てんびん座12位かよーテンション下がったもう俺家帰る』って言ってたもん」
「すいません君はアイツの何がいいんですか」
「そんで、この間『10月は誕生日の月だから駅前の甘味屋全品10%OFF〜♪誕生日おめでとうオっレえええ〜♪』って歌ってた」
「聞こえてる?俺の質問聞こえてる?」
「うるせェドS。さっさといい方法考えて」
「ヘィヘィ。じゃあ、アイツの誕生日は10月1日から23日のいつかってコトかィ?」
「そういうこと」
「じゃあ、とりあえず1日に誕生日おめでとうって言ってみりゃァいいんじゃね?もし違っても『今日俺誕生日じゃねェけど(沖田裏声)』『え?ごめん。じゃあ、いつ?(沖田裏声2)』みたいな展開を狙え」
「んなコト出来るかァアア!あんたソレ『は?何言ってんの?』って言われたら終わりじゃん。THE★ENDじゃん」
「まるで打ち切り漫画でさァ」
「打ち切り漫画でももっとマシなシメ方するわァァア!」
「はァ、じゃあとりあえず毎日「おめでとう」って言い続けるこったな。毎日言ってりゃァいつかは当たんだろ。これで23日だったら爆笑モンでさァ」
「なんだその嫌がらせ。ものっそしつこいよね。軽くストーカーだよね。毎日会うたびに誕生日おめでとうって言われるとか、最早鬱になりそうだ」
「恋愛は粘り強さが肝心だって近藤さんが言ってやした」
「現役ストーカーの言葉を鵜呑みにしちゃいけまっせんんんん!」
結論↓
10月はとりあえず毎日坂田銀時バースデー★
「お誕生日おめでとうございま……!
「俺今日誕生日じゃねェし」
++次の日
「お誕生日おめでとうござ…
「今日でもねェけど」
++次の日
「お誕生日おめで…
「違げェよ」
++次の日
「お誕生日…
「いや、だから違がうって言ってんだろ」
++次の日
「お誕…
「もうしつけえええ!」
(10回目には「ありがとな」って言ってくれたけど、ね!)(どっきん!)
Happy Birthday★:°
我らが銀魂主人公「坂田銀時」がこれからも多くの人に愛されますように;)
@有瀬梨亜
applejam*20081010
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