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嵐よ吹き飛ばせ、そして…
勇者は膝をついてしまうのだ
寒気さえ感じるその声色に怯えたのか足が止まる。

視線は―――向けられない。

「アンタが一人で別行動をとるって事がどういう意味かわかってるの?

俺たちを元の世界に戻す前に死ぬ気?」


「あんたたちこそ、元の世界に戻れないまま私とターミナル前で

頭切り取られて殺されたいの?

私が殺されてもあそこには充分に人間はいる。

私が佐助たちの前に現れなかったとしても人間一人に声をかけて

協力してもらえば元の世界に戻れる―――」



そうだ。


私が死んでも代わりなどいくらでもいる。


私が死んでも何も変わることなど無い。


私がいてもいなくても何もかわりはしないのだ。



ただ、世界の流れの見かたが少し、ほんの少し変わるだけである。



だから、一人で行けるのかもしれない。

そんな私が馬鹿らしくて内心嗤ってやった。



















「ふざけてんじゃねえ!!!」







その怒号に驚いて振り向いてしまった私は情けないだろう。

視線の先には眉間に皺を寄せに寄せた政宗がその隻眼で睨んでいた。

「俺は、俺たちはテメェを使い捨ての駒として利用するために手伝いを頼んだ訳じゃねえんだよ!!」

佐助に抱えられていた幸村がもがき腕から外れる。

「そうでござる!つかさ殿なら――信じることができると、思ったからこそ

感じたからこそ!某たちはつかさ殿を選んだのでござる!

丁度良い場につかさ殿がいたから等と安い気持ちで声をかけたわけではござらん!」


そして、その姿に似合わず男気溢れる元親。


「そうだぜ!

つかさから見れば代わりなんていくらでもいるなんて思ってるんだろーけどなぁ!

俺たちから見れば、つかさの代わりはいねぇんだ!」


腕を組みあの無表情に近い元就が眉間に微かに皺を寄せ睨む。


「我は最初、確かに貴様を使い捨ての駒として見た。

しかし貴様には使い道が充分ある。

そんな逸材を溝にすてるような真似、我がすると思うか?

貴様だからこそ傍に留めておきたいのだ、馬鹿者!」
















なんとも、奇妙で不思議な気分だ。


今、胸はとてもすっきりとじんわり熱くなっている。

頭に浮かぶのは疑問。


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