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嵐よ吹き飛ばせ、そして…
ほら、立ち上がって


「ところで佐助はどうしてここに?」

「え、あ、ああ・・・一つはつかさちゃんがここにいるっていう情報を確かめに。もうひとつは豊臣の軍勢がここに向かってるらしいからその偵察に」

「ふーん・・・。ね、こっちって今、どんな状況なの?」

「この世界のこと?」

「そうそう」

元親の所ではその話はあまり聞かせてもらえなく、元親と元就の関係、西の隅にある奇妙な宗教の話など等、身近なことしか知らないのである。


元就は元就で話という話をしないためそういうのはまったくわからない。

佐助なら何か知っているかなって。

「半年前に第六天魔王 織田信長を一時的同盟による包囲戦で倒した。けど今度は豊臣が勢力をあげていて、しかも優秀な人材・道具等を各国で引き抜きさえしているっていう噂」

敵を味方にしようなんてある意味、酔狂であるけれども。

それはその引き抜きに選ばれた人物が今の国主をどう思っているかにもよるのかもしれない。

不満になっている気持ちを見抜き、味方になれ、とやってくるのならばその人にとっては良い話なのかもしれない・・・。

「馬鹿と天才は紙一重っていうけれど・・・馬鹿のようでかなり賢いことしてるね」

「うん、軍情報が筒抜けになってるようなものだからね。軍に不安を持っている人間を巧みに引き寄せて味方にする・・・心理に聡い人間がいるのは確か」

しかも軍全体ではなくて単体。

集団の中でパニックを少しでも起こすと感染するかのごとくたちまち周囲にも混乱が広がり全体的に混乱し統率が難しくなる現象があるがそれはあくまでも集団。

小さな不安同士が同調しあい巨大になるもの。

単体になるとその単体自身の不安を大きくさせなければならない為、相手の底の底まで読んだ言葉が必要になる。

それは智将といわれてる元就とはまた違う賢さを持った存在。


「―――それでその豊臣はどうして中国に?」

話を切り替え、偵察の件についてたずねた。

その言葉に恐る恐る問いを返す佐助。

「――も、しかして・・・何も知らされてないの?」

「え、しらなきゃ・・・やばい・・・?」

まずいことを言ったかもしれない。

というか偵察に来た、と佐助は言ったはずだ。つまり、その豊臣軍がここにくるのは近いのかもしれない。

いや、近い。絶対、近い。もしかして今日だったり・・・。

佐助は大きくため息を吐き俯いた。



「はぁ〜・・・こりゃまたずいぶんと可愛がられてるね。実年齢二十歳なのに」

「おばはんでわるかったな」

「いや、そんな事一言もいってないからね?」

俺様の方が年上だしと返され心の中でガッツポーズをしたのは言うまでも無い。



まあ、それはおいといて―――



「それ、教えて・・・」

「つかさちゃんの危機になるかも、だからね勿論教える」

懐から小さく畳まれた文を取り出し広げてみせる。

所々に赤い染みがあったり破れかけていたりと見ただけでもその情報のために何かあったのだと悟る。


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