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嵐よ吹き飛ばせ、そして…
それが、成長ってもんでしょう?


呟きが元就にも聞こえたらしくわざとおおきなため息をはかれた。

筆を置く音。

「我は長曾我部ではない。四国でどのような待遇を受けていたかは知らぬが、貴様の見た目の年齢ならばこの世界ではすでに道具でしかないのだぞ?」


いつもの脅迫じみた怒り方と違う諭す言葉は私に緊張を走らせる。

「しかも貴様は戦に負けた長曾我部の献上品。通常ならば座敷牢に閉じ込めておくというのに城内を自由にしかも我が直に共にいるのだ。」

どんどんその声が恐ろしく聞こえてきて元就へと顔を向けることが出来ない。

「それだけで贅沢の極み。貴様は何様のつもりなのだ」


最後の一喝で身体をビクリと震え上がらせる。

『何様のつもりなのだ』

その言葉を聞いて自惚れていたのだと自覚する。



この世界に来て、降り立った場所が元親の目の前で、元親の大人の姿に驚いて。

盛大に宴が始まって、綺麗な着物を着させてもらったりしながら楽しんで。

いつも一緒にいてくれて―――・・・。



そこまで来ると涙がボロボロと零れ始めて、袖でぬぐうのに必死になった。

「―――――ごめんな、さい」

この世界は未だ乱世の時代。

決して、楽しいことばかりではなく私の見た目の年齢だと政略の為に嫁いだり、何かしら学を学んだり、としているはずだ。礼儀だって。


それなのに私はどうだろうか。

いつも誰かに一緒にいてこの世界を知ろうとはしない。

楽しいのならばそれでいいと、周囲が笑って優しくしてくれるからそれでいいと思っている。


勢力のある一国の姫でもない、ただの女の子。

まさしく『何様のつもりだ』なのだ。





「・・・我も言い過ぎた。倉へと行くぞ」


怒られた理由を理解しなければ喜んだであろう言葉。

私は首を左右に振る。

「――私、子供じゃないもん」

「・・・。」

「だから一人で行けるもん!」

そう言い放ち、元就の顔を見ることなく走り出す。

自分は子供ではない。

自分のことは自分でしなければ―――。

「つかさ」

元就が呼び止めるが返事はしない。そして廊下の角をまがると見えなくなった元就の声がもう一度届く。

「―――倉は反対だ、馬鹿者」
「〜〜〜〜〜っ」



そして私は顔を真っ赤にして元就が立っている道を俯きながら走り去るのであった。


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あきゅろす。
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