嵐よ吹き飛ばせ、そして…
自分達でなんとかしなさいな
「そういえばつかさよ、武器は持っておらぬのか?」
縁側で暇つぶしにならない暇つぶしに空を見上げていると執務に取り掛かっている元就から声がかかる。
「んー・・・まあ、逃げ回ることしかしなかったからね」
正確にはただの恐怖。
武器を、刃物を手に持つとまた誰かを残虐に殺してしまうのではないかと。
自分の心が入れ替わってあの時のように狂ってしまうのではないかと。
だからこそ触りたくない。
「そうか。だがこの世界では争いの真っ只中、一つは懐に入れておくといい」
そう、この世界は戦国乱世の時。
私の世界よりも何倍も死にやすいのだ。
生に執着心はないが、痛いのは嫌にきまってる。
だから怪我は、特に大量出血しそうな怪我はしたくない。
「・・・じゃあひとつ頂戴」
「己の足で倉までとりに行け」
「倉どこ」
「そこの角を右に曲がりまっすぐ行き左へ曲がる。そして更に奥へ進み右に曲がり左に曲がった先にある」
―――お、覚えられねぇよ・・・!
「・・・・・・元親はもっと優しかったのに」
まるで子供だな、と自嘲したが、私は子供のなのだと開き直る。
けど、本当に子供なのだ。
いや、前いた世界での私はもうちょっと大人、いやかなり大人であったはずだ、性格的に。
だが今はどうだ。
道覚えられないだけでいじけている。
元就が優しくないだけでいじけている。
奇妙だなあ。
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