嵐よ吹き飛ばせ、そして…
悪いのは君たちなんだし
「―――お〜・・・」
江戸ではこんなのは見れないため感動のあまり声を漏らす。
そしてもう一人、洗脳されているのではないか、と思うぐらい嬉しそうな声を出した存在がいた。
「おぉ・・・日輪よ」
となりにいるナリちゃんだ。
あの気高いというか孤高というか鬼畜な元就が嬉しそうに瞳を輝かせ口元を綻ばせ微笑み、土下座をし頭を上げては高く上げた手と共に床へと垂れる。
いつもの性格を見る限り、ぶっちゃけなんか気持ち悪かった・・・。
「・・・・・・元就?」
「日輪よ〜・・・」
「・・・・・・・・・・・ナーリちゃん?」
「日輪よ〜」
完全無視というか無視していることさえ気づいてなさそうな元就。
ここに立っているだけでは暇なので同じように土下座をし頑張って声色を低くし元就の真似をし始める。
横目で動きを確認し――――
「日輪よ〜」
「日輪よ〜」
一緒に頭と手を上げて天使の如く微笑む。
そして頭をたれ床に手先を着け。
「おぉ〜・・・日輪よ〜」
「おぉ〜・・・日輪よ〜」
また顔を上げようとした瞬間に、とうとう耐え切れなくなり元就の横で大爆笑をかます。
「ひ・・・ひひひーっひっひ・・・!に、に、日輪っ日輪んんんんぁはははは!!!」
一人で爆笑して奇妙に思われるかもしれないが元就はこちらなど今、眼中にない。
隣で元就を馬鹿にして笑っているというのに円満な笑顔で再度「日輪よ〜」と言い出すのだ。
それがまたツボで腹を押さえながらのたうち回る結果となった。
そして、最後にいきなり首襟を掴まれたかと思うと前方全体が空と離れた地上と海で広がっていた。
「ほぉ・・・そんなに空を飛びたいか?」
爆笑している間に妙な儀式が終わったのだろう。
それで馬鹿にされているのだと理解し私を掴み上げ仕切りの外でぶらさげているのだと。
「ここからなら充分に空を飛べるぞ?ん?」
背後からの殺気に言葉を発することが出来ず高速で首を振り否定する。
ぐいっと引き寄せられ城の中へ戻ったのに安堵すると真後ろからドス黒い声が。
「―――次、我と日輪を馬鹿にしたならば、我が輪刀で三枚おろしにしてやろう」
「すすすすすすすすすんませんでしたぁああああぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!」
こうして今日も数少ないであろう平和で過酷な一日が始まるのである――――
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