「やっときなすったぜ」 潮風が吹く海の上。 その水平線の先にポツリと映るは船。 私はこれからおこる"戦"に対し身震いをした。 「元親・・・」 少ない時間であろうと元就と元親は行動を共にした者。 私は不安で仕方ない。 たとえ敵同士なのだとしても、一度共にした仲間。 だから殺し合いはしてほしくないのだ。 「安心しな。殺しゃぁしねえよ」 殺したって死ななさそうな奴だしな、と豪快に笑う。 「野郎共―――!一発おみまいしてやれぇ!!」 オォォオオォォォ!!と地響きの如く雄叫びが上がり大砲の発砲音が祭りを知らせるかのごとく鳴り響いた。 元親の"戦"はどっちかというと"祭り"に近いです・・・。 乾いた微笑で海の向こうにいる元就を見つめる―――――・・・ 大人の元就はどのような姿なのかと期待しながら。 それから暫くして。 「―――元就って姿かわらないね」 そんな言葉を言った瞬間、顔面のすぐ横へ矢が綺麗に通過した。 引き攣った笑顔を浮かべながら正面にいる緑の鎧を着た元就を見続けた。 横にはくやしそーな顔をして縄で縛られる元親。 「フン。またもや我の勝利だな元親よ」 楽しそうに口の端を上げ嘲笑う元就は面白そうだった。 元親をいじめるのが趣味なのかもしれない。 ん? だとすると元親はその逆でいじられるのが趣味なのかも? ははは。 「元親、今度から私も弄ってあげるよ」 「は?どういう意味だ、それ?」 意味不明だと呟く元親。 それに対し元就は機嫌良く笑った。 「く・・・つかさよ、なかなか面白いことを言うではないか」 元就が片手を挙げると良く躾・・・げふん、鍛えられているのか兵が下がっていく。 この船の上にいるのは元就と私、元親だけになった。 あ、言い忘れてたけど長曾我部軍負けました。 ええ、負けました。 「そうだな・・・今回の戦利品はつかさにしておこう」 今回のって・・・何回もやっているのですか? とういかなんかお遊戯みたいな感覚で私、ちょっと変になりそ。 [*前へ][次へ#] |