嵐よ吹き飛ばせ、そして…
俺たちがいる事を、
「これじゃあ馬鹿皇子を人質にとった意味ないじゃーん」
「余は馬鹿ではないぞよ」
「黙れ」
ブチリと剥がれる感触が手に伝わる。
根元からぽっきりと折れてしまった触角を見つめ照れくさく笑ってみた。
「てへ☆」
「余の、余の触覚がぁぁぁああぁぁ!!」
折れた根元から噴水のように溢れる血を、血眼で叫ぶ馬鹿皇子。
「大丈夫だって!接着剤でくっつければ―――」
――――パン。
そう発砲音が聞こえた時には遅かった。
なんか、胸が痛い。
めっちゃ痛いんだけど。
動かそうとして息を吸っても鈍くなっていくんだけど。
力の抜けた腕から
「ようやった!」と馬鹿皇子の声が聞こえる。
そしてその馬鹿皇子に突き飛ばされる。
倒れ景色の変わる中、佐助達の声が聞こえた気がした。
周囲から再度聞こえる群集の声。
――――けれど、ここで終わらせるわけには行かない。
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