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誰かの話
20:交換しよう?





なんてことない日常の一日。

両親を幼い頃になくして姉と生きてきたが、その姉は結婚。その結婚相手の、利家というのだが一緒にすまないかと尋ねられたが女身一つで慶次を育ててきて今まさに幸せの端を掴んだのだ。慶次はやんわりと断り家を飛び出した。


そんな慶次は一人暮らしするには丁度良い広さのマンションの一室を借りていて、そこから自転車をこぎ学校に通っている。

まだ眠さの残る朝、携帯のアラームとは違う音が眠さを訴え布団にもぐろうとする慶次の耳に入る。

バイブレーダーと共に数十秒なり続けると静かになり、表面のランプが定期的に点灯。

誰かからのメールだった。


「――――・・・んー」

布団から顔を出して視界を覆い隠している己の長い髪をどけて携帯を手に取る。

メールを開くと見知らぬアドレスが表記されていて題名には『サイト更新お知らせ』とかかれており本文にはURLのみがのせられていた。

いろんな無料サイトに登録してる慶次は何処からのかさっぱりで、けれどもそのサイトに飛べばわかるかもしれないとそのサイトへと繋げた。

「んんー・・・?」

しかし表示されたのは見覚えの無いサイト。

背景は黒一色で文字はひとつもない。変わりに人形の画像が張られているだけだった。可哀想な事にその人形は拭くが焼け焦げその体もこげて一部が解けてしまっている。目は片方外れて無く、両足の膝の関節から下もない。悲惨な画像だった。

「・・・悪戯メールかよ」


誰かからは知らないが悪質な悪戯メールだ。

このメールのお陰で目をすっかり覚ましてしまった慶次は、携帯アドレスを変更してから布団から起き上がり学校にいく準備を始めた。

それから毎日そのメールは届いた。

不思議なことに何度アドレスを変えても、迷惑アドレスとして登録してもそれは届いてくる。もちろんそのサイトを覗く気がない慶次は放置することにしたが気がつけばサイトが開かれ人形の悲惨な姿の画像が携帯画面いっぱいに映っている。

仕舞いには電源を落としておいたりしたが、交友が広いためにずっとそうしている訳にもいかずそのままにすることとなった。





「あー・・・またかぁ」

それから数日たつと何故だか妙になれてしまい、サイトもメールが届けば開いて変わりのなく悲惨な姿の人形を一目見て閉じる。それが朝の日課となってきていた。

昨日の疲れが取れないのか妙に気だるく眠い。
大きなあくびを一つして慶次は学校へと向かった。





「おっはよー」

ドアを元気良く開けて中にはいる。

最近あのメールのお陰で早くに目を覚ましてしまい、結果いつもの遅刻ぎりぎりよりも早く学校へと到着する。教室内にはまだ半分ほどしかクラスメイトは来ておらず慶次同様珍しくも元親が何処か呆けた顔で座っていた。

「元親、おっはよー」
「・・・。」
「・・・親ちゃん?」

「っ、チカちゃん言うな!」

眠かったのが二度目の呼びでやっと反応を見せた。慶次をみると気が抜けるようなため息をはいてまた椅子に座る。見た目からして恋沙汰にはみえないので慶次は疲れてるんだなぁ、と自分の席へとすわった。

「んー」

いつもはギリギリでくるために席に座っても何をして暇を潰していれば良いのかがいまいちわからない。

慶次は暇そうに口を尖らせて携帯を取り出した。
いつの間にかメールがきてる。

「――れ?」

メールのアドレスを確認するとそれはあの迷惑メールだった。いつもは一日に一通来るだけだったというのに二通に増えた事に首をかしげる。サイトのアドレスだけしか乗っていないメール。返信してもエラーメールとして帰ってくるだけ。まあ、いいやと暇潰しにもってこいといわんばかりにサイトを開いた。

背景が黒のサイトが開いていつも通りに人形の画像が―――。


「―――お?」

サイトを開いたら表示されたのは画像ではなくリンクされた文。
『再生しますか?』という短い文から見るにそこをクリックすると動画が再生されるようだった。サイトアドレスは同じだったところから見るに改装でもしたのだろうか、とその文をクリックして動画を再生した。




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