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狂い狂わせ狂われた
親鳥の決断3







場所は移り城外。

成実は数人の部下を連れて、城下町へと向かっていた。

今回、山賊が付近の村を攻めていおり、その山賊はもしかしたら"忍集団"かもしれないと、そしてそれらが奥州を治めているこの城を狙うべく、或いは国主をおびき出す為の行動の可能性が大きい、ということで国主である伊達政宗の命により城下町へと警備兵を連れて歩いていた。

それだけならば成実がついて歩く必要は無いが、その会議の最後付近で急変した。



"つかさが城内から姿を消した"



もちろん門兵には通すなと言ってある。

だから門から外に出ることは出来ない。

だとしたらどこかに抜け道となる所があるか、ただ"忍"にも見つからない所に隠れているのか、その山賊に拉致られたか、あるいは・・・。


あるいは裏切り、間者だったか――――。



最後のは出来る限り考えたくは無い可能性だが、捨てきれない事もあり真実を確かめるべくこうして一緒にいるという訳になる。

もし最後の可能性が当たったならば、斬らねばならない。

人質として捕らえられていたとしても、助けずに山賊を退治しなければならない。

区切りをつけられる成実といえど弟の様に扱っていた存在を斬るとなると心が揺らいだ。


「・・・・・・いや、」

別にそれは慣れている。

それが俺の役目で、この国の、梵の為にできる唯一のことだ。


歩をすすめながら、心配である国主の事を考える。

つかさと政宗。

あまり会う回数はなかったが、まるで最初からこうなるべくしてなったというように仲がよく、毎回遊んでやっていた成実よりもずっと上をいく仲の良さだった。

どうしてそこまで惹かれあうのか。

きっと彼等にも成実にもわかりはしないのだろう。

ただ、そこまで仲のいい二人がこのような事で裂かれるなんて哀しいものだ、と思うのだ。


――――できれば裏切り者でなく、間者でもなく、人質となった訳でもなく・・・ただ、路頭に迷っているだけだといい。





そう願うだけだった。

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