閉じた瞼の外側が明るい。朝が来た。 瞼越しの光が眩しくて薄く開く。天井も太陽の日があたって、明るくなっていた。もう朝なのか。長い夢を見ていた気がして俺は横向きになった。 そしたら悲鳴をあげそうになった。 いや、声をたしかに発したのだけれども喉が痛み、声も空気が漏れたような、随分喉を酷使したかのような状態になっていた。 もちろん、昨日、酷使したわけでもなく、いたって普通に過ごしていたはずなのだが。 いや、声もそうだが、今一番気になることは何故、片倉さんと政宗さま、それとしげが三人横並びで正座、胡坐をかいているのだろうか。 三人とも眼を閉じていて、そのうちしげは本当に寝ているようで小さくいびきをかいていた。 よくわからないけれどその図がまるで親子のように思えた。 チリと頭のどこかで何か弾けたようだけれども、それよりもこの三人が面白かった。 「―――――・・・おきたか」 目を閉じていた片倉さんに声をかけられて驚いた。 片倉さんのまぶたが開き、その強いまなざしが向けられる。なんだか、変な感じ。 「ごほ・・・お・・・は、うございまず」 最初に咳をして喉を整えて掠れた声で挨拶をした。それに対して片倉さんは驚いていたがすぐに「おはよう」と返してくれる。その会話に気付いたのか半ば寝かけていた政宗さまが目を開けた。 「―・・・God morning.つかさ、平気か?」 よくわからないから首をかしげた。そしたら政宗さまも片倉さんと同じように驚いていた。どうしてこうも似たような行動をするのだろうかこの二人は。本当に親子みたい。また頭のどこかでチリと弾けた。 痛いわけじゃないけど。そう何度もチリチリくると嫌になる。 「・・・と、ぃうか。どしたの、ケホ。俺の部屋に、しゅゲホン!集合、し・・・てざ」 俺の咳でまた一人、完全に寝ていたしげが目を覚ました。俺と目があって目を見開き「つかさあ!」と叫び抱きついてきて起こしていた上半身が布団にもどる。重い。煩い。しげうるさい重い! 「お゛もいい・・・!!」 「つかさつかさつかさああああ!!」 馬乗りに抱きついてきて耳元で俺の名前を呼ぶ。 よくわからないけれどとても嬉しそうに名前を呼んでくるしげ。 最初はやっぱり抱きつかれて吃驚してた俺だけど次第に訳のわからないまま抱きしめ返していた。あ、暖かいなあ。なんて思ったり。 「テメェ、どけ!!」 見ていて暑苦しかったのか政宗さまがしげを引き剥がそうと布団を股にかけてしげの服を引っ張る。 やはり血がつながってるのか俺を掴むしげも力が強く剥がれない。そのうち俺もしげに抱きかかえられた状態で一緒に持ち上げられてしまう。すげえええええ。 「成実!つかさを離しやがれ!!」 「梵にそう言われると離したくないー!つかさああ!!」 さらに抱きしめる腕に力をこめて頬ずりを始めた。 俺は小動物でもなければしげのペットでもない。 しかもしげも俺も男であって男どうしてこんなこと!悲鳴をあげたかったが声が丁度良くでなくてしかも政宗さまが「成実いいいい!」と揺さぶり始めた。視界がグラグラとぶれるぶれるぶれる。 部屋の外まで漏れる政宗さまの憤慨の叫び。その叫びを鎮めたのは他ならぬ親役の片倉さんだった。ブチッと切れる音。 「―――テメェら、そこに座りやがれええええ!!!!」 [*前へ][次へ#] |