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狂い狂わせ狂われた
逆様になった歯車1





―――最近、夢を見る。

俺は、女中さんに準備してもらった布団に転がった。

今日、布団を干していてお日様の独特の良いにおいがする。息を吐いて、息を吸う。

火が部屋を薄暗く照らしている。そんな中、俺は今日の出来事を頭の中で順番に思い出してはにまにまと一人微笑んでいく。


しばらくするとそれに飽いて睡魔におそわれるのだけれども――――。

「―――――っ!!」

眠りに落ちる寸でに二人組の男女と俺が浮かび、それだけだというのに胸が騒ぎ一気に目が覚める。

一週間ほどまえからだろうか。夢の始めでもあるその一部シーンさえみるのが怖くなったのは。

最初は、朝目を覚まして、ああ、なんか怖い夢みたな、という感覚だったというのに日に日にそれが増してくる。悪夢の内容さえ覚えられるほどになった。

――今じゃあ、睡魔に耐えられずいつのまにか寝落ちをしなければ寝付けない。

自分の意志で寝ることができない。


辛い―――というほどではないが、寝落ちする間に色々なことを考てしまうことが嫌で嫌で仕方ない。

恐怖で目を覚ました俺は暴れている胸を押さえながら浅く息を繰り返して必死に考えないように思い浮かべないようにした。


「はっ・・・はっ・・・は、・・・・・・う」



脳裏に夢の内容が流れる。

思い浮かべたくない、思い出したくない、と思うのと裏腹にどんどん鮮明に、流れていく。

モノクロだった景色に色が灯る。無音だったのにどんどんと音が大きくなっていく――。


今日のは、なんか、変だな。







"しぶとい餓鬼だな!"

"いい加減に消えろよ、邪魔なんだよクズ!"

"ははっ、無様な格好だなぁ?笑える"

"アンタを産んだのは、間違いだったわ"

"視界にも映したくないの・・・"

"うっわ、きったねえーゲロ吐きやがった"

"これ以上、私を苦しめないで・・・"

"あー、もうなんかメンドーだなお前"



"私から盗らないでよ・・・"


"もう飽きた、お前、もう死んでいいよ?"









" 死 ん で し ま え "













「あ゛」

胸を掻き毟った。


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