「つかさの運動能力は並、小十郎が畑の手伝いをやらせるぐらいだからお前らはあいつのことをもう疑ってねえってことになるか」 「完全に、ってわけじゃあないけども疑ってないかな」 「OK.・・・そういや、つかさから南蛮語らしき言葉を言うのを聞いたか?」 成実が疑ってないというならばそれでもいいだろう。 どっちにしろ俺の命を脅かすことになればこいつはあっさりと斬り捨てるんだろうからな。 俺はあれから執務におわれて話す機会がなかったが、成実や小十郎、綱元の話を聞く限りでは俺に仇なす存在でないことは確か。 どっちかというと、そんな事よりもつかさが南蛮語を使えることがきになる。 「んー・・・・・・あ、この前、てんしょんが下がったって言ってたかなー」 「tension(テンション)か。他には?」 「さあー?梵、気になるなら直接話に言ったらー?」 ・・・それはまだ残っている執務をやっている俺に対する嫌味なのか? つかさが来るまで、一ヶ月ほどの仕事を放り投げていた俺にとうとう切れた小十郎。 それらをさぼってつかさの様子を見ようと近づくと鬼のような形相で睨みつけてくるためにさぼれない。 まじ、おっかねえ。 溜まっているのが一ヶ月分のため、半月ではもちろん終わるわけもなく、今月の分も足すとまだまだ終わりそうにない。 ああ、溜めた俺が馬鹿だったぜ。 煙管から火の消えた灰を煙草盆に打ち落とし立ち上がった。 「なら行ってくんからお前、アレ頼むぜ?」 「え?!」 「じゃあな」 成実の反論を許さずに障子をぴしゃりと閉めた。 [*前へ][次へ#] |