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学園都市BASARA
ともだち


「ねえ、アンタ誰?つかさちゃんに何をしてるの?」



へらりと笑う『友達』の佐助が浮かんで、涙があふれた。

なんで?とか、どうしてここが?という気持ちよりも助けにきてくれたという強い安堵感に我慢という脆い鎧が崩れていったのだ。





―――――助けにきてくれた。




目の前のあの人との関係なんか知る由もなく、実際、助けにきてくれたわけではないのかもしれないけれどもたしかにあたしは佐助に救われていた。


「・・・・・・成る程、そういうことか」

あの人はつぶやきと共に歩き始めた。離れていく足音。

「つかさ、また来るからね」

「来なくていいよ。あと、つかさちゃんに何かしてたら次、見かけたときに殺してやるっ」

「こわいこわい」


余裕さえ感じる笑いが重い空気の中、響く。そうしてしばらくの沈黙のうちあたしを佐助がよんだ。


「つかさちゃん!!」


――――――無意識だった。


迷惑はかけられないから、と思っていたのにいつの間にか鍵を開けて佐助の胸に飛び付いていた。

「さ・・・佐助・・・っ佐助っ・・・ひっく」

包まれる感触。

佐助の両腕があたしを崩れないように、壊れないように優しく包みこんだ。

「もう大丈夫。大丈夫だよ、つかさちゃん・・・」


佐助の声が安心する。

あたしの恐怖を消してくれる。


あたしを助けてくれる。



「―――さ、ここにいるのもなんだし移動しようか」

「・・・ひっくっ・・・う、ん。あ、りがと。ありがとう・・・」

「友達なんだから当たり前でしょうに。ほら、行こう」



涙で濡れた頬を指で拭き取る佐助は慈愛に満ちた笑みで頭を撫でて、あたしの手をやさしく握る。

いつかの時のように先を歩きあたしの手を取り歩く佐助の背姿は大きく、また涙をこぼしてしまう。



「つかさ!」

「つかさ殿!」



授業中だというのに歩くあたしたちを見つけ走り寄ってくるのは、幸村と政宗。


最初に幸村が政宗を越してあたしへと飛び掛かるように抱き締めた。

「つかさ殿!心配したでごさるぅぅぁぅぅ!!」

「noisy!(うるせぇ!)つかさから離れやがれ!!」

「あの・・・・・」

「断る!某はつかさ殿と離れたくはない!!」

「ゆき・・・」

「そういうのを破廉恥って言うんじゃねぇのかよ!!?」

「まさむ・・・」

「それとこれは別でござる!!!!」


「二人ともいい加減にしてよね!!」

抱きつく幸村に引き剥がそうとする政宗。そんな二人からあたしを救い出そうと怒る佐助。



みんな、あたしを心配してくれてて。

こんなにうれしくて。

こんなにたのしくて。


ありがとう。
ありがとう。

――ありがとう。




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