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学園都市BASARA
卒業式

――
――桜がハラハラと風に舞う。





冬休みが終わり、三月に突入すると卒業式の準備が始まった。



冬休みの旅行中にこの学園都市の特殊さを聞かされた。

そこでふと思ったのだ。

特殊な能力を持つ人たちは卒業した後、何処へと行くのだろうか。


能力を持っているが故に何か、特殊な仕事先に行くのだろうか。

それとも学園外の高校と同じように普通の企業へ行くのだろうか。

あたしは学園について詳細を知らない。


だからよくよく考えるとわからないことだらけなのだ。






そんな事を登校時に考えていると左右に要る佐助幸村が声をかけてきた。

「具合でも悪いのでござるか?」

「暖かくなったから春ボケしてるんでしょ!」


幸村は炎の、しかも上級ランクの能力を持っていて、佐助は能力持ちの中でも希少な闇。


彼らにとっては当たり前なこと。

あたしにとっては不思議なもの。



「来月卒業式でしょ?それで普通の高校だとそこらへんの企業に就職って形になるけど、ここはどうなのかなって。ほら、みんな能力もってるでしょ?だから」


「あ〜成程」

佐助が相槌を打く。

「人によっちゃあ普通の企業に就職するだろうけど・・・大体は家の跡を継ぐか、新たに企業作ったりとか・・・慶次先輩は諸国放浪するとかいってたかな〜」


家の後を継ぐ?!
新たに企業をたてる?!

驚愕の声を口から漏らしそうになったがよくよく考えればお金持ちの人たちが通う学園なのだ、それらの事は不思議ではないのかもしれない。


「・・・それよりも諸国放浪って・・・」

つまり仕事をせずに国内中、もしくは世界中を旅するみたいなことだろうか。

それって良いのだろうか。


「なんでも色んな国の綺麗なのを写真にとるとか何とか」

「・・・しかし慶次殿に見せてもらった奴はすべて女子であったが」

頬を桃色に染める幸村。

慶次の性格からして女の子好きというのも頷ける気がする。

「いいんじゃなーい?先輩は女の子にはとぉぉおぉぉっても優しいからね」

「・・・わかる気がする」

「うむ」

佐助の意見に同意しふと気がつくと校門前。


楽しいと時間が経つのが早いなとか思った。




同じように登校してくる生徒に混じり上履きへと履き替え教室へと向かう。

途中、元親と元就先輩に会ったので挨拶。

「おはようございます」

そういえば元親と元就先輩が二人きりで歩いているのははじめて見た気がする。

意外と仲が良いのかもしれない。

「おう、つかさおはよう」

「ああ」

それぞれの返事がかえってきてなんだか素晴らしいな、とか思ってしまった。

最近、自分のテンションが高い理由がわからない。

けれども個人的にも楽しいのでわからなくても良い。



楽しいから。

人と、友達と話すだけなのにこんなに楽しくて嬉しいから。




アニキ、おはようございます!と元親へと次々に挨拶していく先輩や同級生に同じように返事を返す元親と鬱陶しくしている元就先輩を視界の隅に移した後、教室へと入っていく。


席へと座るとホームルームが始まるまでのお話が始まった。




一息ついた佐助が「そういえばさ」と机にひじをたてる。

「つかさちゃんってば属性なーに?」

突然の質問に息が詰まる。

ここの学園は皆が属性を持っているため、属性の無いあたしはどう答えればいいのか迷う。

持ってない、と正直に言ったら馬鹿にされそうな気がしていえない。


秘密にしている訳ではないが属性を持っていない普通の人間と知ってるのは慶次だけ。

慶次は優しいから特に変な顔されなかったけれども・・・。

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あきゅろす。
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