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学園都市BASARA
擦り合い2


「…………ぁれ?保健室は?」


一階にも保健室はなかった。

つまり保健室がない、ということなのだろうか。

いやいやいや、佐助は幸村を保健室に連れていったのだからあるはずなのだ。

……通り過ぎた?



あれ、おかしいな。

「………どうなって?」

早くしないと休憩おわっちゃう。

「困ったな」

誰かに聞いたほうが一番早い。けれど聞きにくいのだ。やっぱりまだ初日だから。

「………」

目の前の階段から先程の無口な男子生徒が次の授業で使うであろうプリントを手に持ち降りてきた。

視線が合う。

「………」

「…どうも」

ズボンのポケットから携帯を取出しボタンをポチポチ押していく。
画面を向ける。

『何か困り事』

…クエスチョンマークがないのは気にしないことにする。

「…うん、保健室の場所がわからなくて」

『怪我』

「あたしじゃないんだけど……怪我した…友達の様子を見に行きたい」

それと、探しているらしいので。


男子生徒は携帯をしまうと校舎の出入口を指差し歩きだす。

どうやら、案内をしてくれるらしい。


感謝だ。

ついたらちゃんとお礼をいわないとね。ありがとうってね。



校舎をでてすぐに男子生徒が右の建物を指差した。

あそこの校舎に保健室かあるのだろうか。

『あれが、保健室』


あれが保健室か。



あれが……。


「…建物一つが保健室?」

コクリ、と男子生徒がうなずいた。

「学園都市ってなんか……色んな意味ですごいんだね」

『ここは特別な学園都市だから』

「特別?」

それ以上は何も答えなかった。

いや、何かから逃げるようにその場から物凄い早さで走り去ってしまった。

目の前から消えてしまった男子生徒。その先には入り口から幸村と佐助が出てくる姿…。



―――二人から逃げた…?


何故?




あたしに気付いたのか幸村は急いで駆け付けてくる。その後を追う佐助。

「つかさ殿!」

幸村は目の前で止まると深く深く頭を下げた。身体が90゚以上に曲がり髪は逆立つように垂れた。

「――申し訳ないでござる!!!」

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あきゅろす。
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