(激甘高銀注意!)






まさか、好きになるなんて。










暗い。

居酒屋で酒を飲んで、そこらへんにいた適当な奴に愚痴を言いまくって、もうデロデロ。
いつの間にか夜中もいいとこで、銀時はふらふらとおぼつかない足取りで街を歩いていた。


「(あ、やっべ吐きそ・・・)」


気持ちが悪くなり、路地裏へと足を運ぶ。
いい気分になったらそこでやめようと思っていたのに酒というものは何故かやめられない。
もっと気持ちよくなりたいと思いまだ飲んでしまうのだ。


「う、いや、でも今日はいつもより飲んでないから大丈夫・・・」


一人呟き深呼吸。
楽になったのでさあ帰るかと後ろを向く。と、

「!?」
「・・・!」



誰かにぶつかった。



「いたっ、ちゃんと前見て歩―!あれ」
「・・・銀時?」
「たっ 高杉!?」


そいつは片目を包帯で隠した高杉晋助だった。
隠していない方のそれは軽く見開いている。
珍しい表情にびくりと銀時は戸惑った。

過激派のテロリスト。彼と会うのは滅多にない。


「・・・久しぶりじゃん。あれ、痩せた?」
「うるせェ酔っ払い。お前次会ったらぶった斬るとか言ってなかったか?」
「ここ街じゃないもん路地裏だもん」

ワケが分からない言い合いをして、銀時はひそかにため息をついた。
こいつとこんな言い合いをするのは久しぶりだ。

「・・・元気だった?」
「何言ってんだ?そんな事言うなんてなァ、銀時。気持ち悪ィこともあるもんだ」

クッと口元を上げて怪しく笑う。
そんな笑い方に少々むっとしながらも銀時は、会話が嬉しくてたまらない。

どうかしたのだろうか。自分は。
こんなにも高杉を気にかけて、ヘンだ。

「なんかまたハデな格好してるね」
「まァな。」

手に持っていたキセルを吸う。
女物の着物も着こなす彼はすごいと思う。
銀時は昔から高杉に憧れに近いものを抱いていた。

そうか。

これは憧れなんだ。
高杉の傍にいたいとか、もっと声を聞きたいとか思うのは。

銀時がとんちんかんなことを考えているのを知りもしない高杉は、何?とでも言うように銀時を見た。

「え?ああ、どっか行くの?」
「いや?ふらっと歩いていただけだ」
「・・・家、近い?」
「家なんてねェよ。宿に今は泊まっている」
「いいのそんなこと俺に教えても」
「銀時だからな」

びっくりした。

高杉がこんなに、なんていうか、優しいのは初めてだ。
銀時は何故か高鳴る胸を押さえながら言った。
無駄かもしれないという気持ちも混じって。

「泊まって、い?」
「・・・本気か」
「本気だよ」
「何。何か企んでんのか?」
「違う」
「・・・・・・」

やっぱり無駄だ。
しょぼーんと目に見えるほど落ち込んだ銀時。
そんな顔がなんだか可愛そうに思えて高杉は言ってしまった。

「(はぁ、)いいぜ」
「まじ!」

ぱああと嬉しそうに笑う。
まったく調子が狂うと高杉は溜息と煙を同時に吐き出した。









「へえええええすっごおおおおお・・・贅沢!」
「感想はそれだけか」

一応テロリストだし、隠れるならひっそりとした宿屋なんだろうなと銀時は思っていた。

が、違った。
まさに豪華という文字が似合うそこは広く殺風景な部屋に綺麗な襖、庭は広くほんのりと淡い色の明かりが灯っていた。

「こんな贅沢してていいの?っつーか、どこから出てくんの金」
「そんなことまでしゃべるかよ」

高杉はどしりと座り頬杖をついた。
庭の明かりに照らされて彼はなんというか、色気がある。

何考えてんだ俺・・・!

ばしばしと自分の頬を叩く銀時を不思議そうに見る片目。
あ、と声を上げて思い出したと話しはじめた。

「そういや何で俺と泊まるって言ったんだ?銀時」
「えっ」

ぎくりと肩をこわばらせる。
偶然出会ってハイサヨナラはあんまり悲しいと思ってギリギリまで傍にいたいと思っただなんて口が裂けても言えない。
かぁぁと赤くなる顔を隠してあれ?と首を傾げた。

―ん?あれ?何かおかしくないか
これって絶対友達に対して思う気持ちじゃないよね。
どっちかっていうと恋人とかそんなんに想う気持ち・・・あれ!?


これでは銀時が高杉を好きみたいではないか。
そんなことを今更気が付き恥ずかしくてたまらなくなる。
こんなに俺って、乙女だったっけ!

「銀時ー?」
「うぎゃあああああみ、みみみ耳元でしゃべるなあああ!」

ふうっと息を吹きかけられてびくびくと震える。
銀時はもうすでに涙目。
まさか好きになるとは思わなかった。
しかも自覚したら気まずいじゃないか自分が!

「近寄るなッ」
「そんな寂しいこと言うなよなァ」
「ひぃっ、あぅ」

肩を抱き寄せられ、耳には口元。
やばい。庭の照明までもが高杉の味方をする。
・・・空気が雰囲気が、妙にエロティック。

「う、何し・・・!」
「黙れよ」




口に触れた。





「―!ふ、」
「・・・ん」

唇が。
唇同士が。

ちゅうと音をたてて離れたそれは名残惜しそうに今度は右のほっぺ。

「な、に」
「なんだキスもしたことないのか」
「あるわ!いや、違う、何で?」

口に掌をあてて目元を赤くする。
銀時は混乱していた。
だって、彼が自分に口付けをする理由がない。

「遊んでるの・・・?」
「バッカ、違ェよ。鈍いのか?わからねェ?好きな奴とキスしてェって思うの」

ぎゅ、と7センチ下の彼が抱きしめる。
身長差もいいとこだが有利な状況にあるのは当然高杉だ。

「俺・・・?好きなのお前」
「それがどうした」

ぶす、とした顔が目に浮かんで(今は見えない。抱きしめられているのだし)、銀時は笑った。
いつものへにゃ、というくったくない顔で。

「・・・銀さんうれしい」
「おぅ」
「ね、もっかいしてよ」

キス、とねだる。
好きな相手にこんな可愛らしいことをされたら誰だって型が外れてしまうだろう。
高杉はいつもの冷静さを失った。

「・・・ん、は、うぅ・・・あぅ」
「銀、時」
「たかす、ぎ」

舌を絡め取られて背中がぞくぞくする。
こんな気分は久しぶりな銀時は身体に熱がたまる。
煩い左胸を抑えながら高杉を受け止めた。

「は、う」
「ちゅ、わかってんだろうな、銀時?」
「え、なにが」
「お前が泊まりにくるってこたァ、どういう事か」
「・・・!」

ぼふ、と顔を真っ赤に染め上げて高杉を見上げた。
・・・いつの間にか押し倒されていた。

「嘘」
「嫌じゃねェよな?」
「いや、待って!待てって!俺野郎としたことねぇぇ・・・!」
「大丈夫だよ。俺が手取り足取り優しく教えてやる」
「その言葉心配なんだけど!」
「やっと手に入れたんだ」

はっと高杉を見た。
自分だけじゃない、高杉も照れていた。
言葉を繋ぐ。




「もう手放すかよ」






覆いかぶさってくる彼は、どことなく優しい手付きで身体をさわった。

あぁ幸せかも、とあいまいな気分だがでも、





気持ちは満ち足りていた。









END












***
ご、ごめんなさい・・・
素晴らしき高銀サイトを周っているとどうしようもなくなっちゃったんです。
書かないって言ったのに書いちゃった・・・
銀さんが最近かわいいのでその記念も。
かっこいいけどかわいいお人だよね。
そして私が高銀を書くとどうしても甘々になる・・・鬼畜なんて絶対書けません しあわせ主義!



あきゅろす。
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