(若土ちび沖)





「ねえ土方」

「さん付けろ」
「聞くのすごく恥ずかしいんですけどねぃ・・・」
「は?」


「せいべつって何?」
















びし。

効果音を付けるなら、びし。
石化する勢いで、土方は固まった。
何て言った?目の前の小さいガキの、総悟は。

「だから、せいべつって何」
「あー・・・性別、・・・」

性別?そんなん知るか!
そうやって突っぱねることができたらどんなに楽だろう。
しかし可愛い弟分にそんなことできないし、するつもりもない。
まったく、なんてややこしい質問をしてくるんだこいつは!

「ねえ、土方さーん」

珍しくさんを付けて呼んできた。
それほど知りたいということなのだろう。
しかし、気の利いた答えを出せる程土方も子守に慣れていない。

「性別・・・女と男のことだろが」
「そんなこと知ってやす。違う、差でさぁ差!」

差ぁぁ!?
まったく子供というのは厄介だ。
たまに確信をついてくると思えば、まったくな無知だったりする。
返答に困る質問ばかりで、正直あまり好きじゃない。

「まったく・・・っつーかそんなこと知ってどうするつもりだお前」
「え」

ぱっと目を見開いたかと思ったら、下を向く。
なにかワケありか?
急に興味がわいた土方は、さらに問い詰めてみる。

「誰かに言われたとか、そんなんか?友達?」
「・・・うん」
「どうりで変な質問をしてくると思ったら」
「だって」
「ん?」

「だって、俺男なのに!」


ぐずっと鼻をすする音が聞こえて、土方はぎょっとした。
待て。何故泣く!

「お、おい」
「男なのに、好きなんでさぁ・・・!」

「―・・・」

本格的にぽろぽろと、綺麗な瞳からまた綺麗な涙が落ちて、地面へ吸い込まれる。
心配でたまらなくなり、ちいさなちいさなそいつの身体をすっぽりと自分の腕の中へ誘い込んだ。
とたんに総悟が跳ねて、びっくりしたんだろうな、と土方は呑気に思い抱きしめる。

「好き?何が?いや、誰が?」
「っく、ひぅ、」
「泣くな、泣くな」

ぽんぽんと頭を撫でて、涙を肩で受け止める。
濡れるがそんなことどうでもいい。

「だって、ふつーは、っく、男は女好きになるでしょう?」
「まあな」
「でもおれ、好き、っのは、・・・男で!おれも男なのに、だめなのに・・・!」


駄目。

そんな言葉を、こいつはもう知っているのか。
そして、我慢することも知っているのか。
後ろめたい気持ちも、周りと違うって気持ちも、そして、
好きだって、そういう気持ちも。
もう、知っている。

まだ幼い総悟がそんなことに悩んでいると、今知った土方は戸惑った。
ちいさな心臓は震えていて、振動が伝わってくる。

「そうか・・・総悟は好きになっちまったんだな?そいつのこと」
「へい、だから差がっ、埋めよ、っとして」
「もう何も言わなくていいから。よしよし」
「・・・ふぅぅ」
「泣かなくていいから。大丈夫だよ」
「う、あぁ・・・」
「よしよし」

勇気を出して土方に伝えたのだ。
総悟だって、緊張していたはず。

土方は自分らしくねえなあと思いながら優しく撫でる。
本当に、土方が人に優しくするのは珍しいのだ。

「ふぇ」「落ち着いたか?」

こくりと恥ずかしそうに頷く。
こいつも泣くことあるんだな。

「そうか・・・うーん性別ねェ・・・」

一人呟きこっちも悩む。
こんな難題を用意してくるとは。
やはり子供は容赦ない。

「別にいいんじゃねェ?」
「・・・っえ?」
「ま、ハンデではあるが、いんじゃね?男好きでも」
「本当ー?」
「んー、人によるがな」

かくりと首を傾げる総悟に土方は笑みを見せてやる。
すぐに目を逸らし、下を向く。
そんなに気持ち悪かっただろうか。

「おい」
「だめでさ!」
「は?」

「おれが好きなのは土方さんなの・・・!」











・・・大波乱。

子供というのはまったく本当やっかいだ。
たまに確信をついてくると思えば、まったくな無知だったりする。
返答に困る質問ばかりで、正直あまり好きじゃない。

・・・、はず。



どきりと高鳴った左胸に、あーあと思い真っ赤なそいつを抱きしめた。







END
***
某育成ゲームのサボテンのセリフより。
ちび沖楽しかったです←
土方さんがなんかおとこまえ。
・・・私は土方さんに何か夢でも見てるんだろうか


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