(学生パロ)




一人で居たのは理科の教室。

ぼんやりと外を眺めていた。

もちろん窓のガラス越し。

何か抑えきれないその衝動は、


突然起こった。











ガシャーンと音がしたので土方はふと立ち止まった。
日曜日の学校に、何故このような音がする?

返し忘れていた本を図書室に戻した矢先、聞こえた。
平日ならば馬鹿な誰かがガラスを割る(理由は様々だ。暴れていたとか、鬼ごっことか。大抵阿呆な理由だが)。
しかし誰も居ない今日に、ガラスが割れるのは珍しい。

誰かいるのだろうか。

興味を持ち、音がした方へ足を運ぶ。
図書室からそう遠く離れてはいないはずだ。
たしかここらへん、
そう思い向かった先は、理科室。
職員室からもっとも離れている場所なので、割れた音は聞こえていないはずだが・・・。

「(聞こえたらマズイもんな。もしかして計算で理科室の窓を割ったとか)」

そう思いガラリと戸を開けた。

「・・・ひ!」
「お?」

やはり。
理科室の一番奥の窓が割れていた。
その窓の前に立っているこいつが犯人だろう。

「何やってんだ」
「ごめんなさ・・・!」

問い詰めるとびくびくおびえて謝る。
・・・おかしい。
休日に学校に来てわざわざガラスを割る奴など、ヤンキーしかいないと思っていたのに、なんか、違う。

しっかり制服を着ているし、着くずしてもいない。
髪の毛の色は少々問題があるが、一見おとなしそうな奴なのに。
もしかして事故った?

「なんで割れてんだ、これ」
「お、俺がやりやした・・・」
「何で」
「え、え・・・わかんない」

わ、かんない!?
倒れたとか!?しかしぶつかって割れたなら血出るだろ。
そう思い直し、見てみると、やっぱり。

「あー・・・腕。手から血出てるし・・・」
「ええっ!?」

青い顔がますます青くなった。なんだこいつ。変な奴。











「す、すいやせん・・・」
「いいよ。」


割れた窓を取っ払って、そしてガラスの破片を適当にゴミ箱にぶちこんで、保健室へ直行した。
土方は犯人の腕を消毒している(日曜だから保険医はいない)。
なんて不思議。まったくなんで俺が。
そう思いながらもしかし、放っておけないのは土方が優しいからだ。

「本当何であのガラス割れてたの」
「え、俺・・・。俺が、割りました」
「だから何で」
「・・・衝動的」

「は」

衝動的!?ガラスを衝動的に割りたくなるやらこいつ危ないんじゃねぇ!?

「実は、俺・・・あそこの掃除当番で」
「うん」
「俺しか、いなくて」
「うん」
「他の奴は、なんか・・・最初から来なくて」
「(サボリか・・・)」

「一人でいつも外見てました」
「で?」
「で、・・・今日は、家に母ちゃんが知らない人連れてきてるし、何もすることなくって、服も適当に・・・制服着ちゃって」
「・・・」
「学校来て、理科室でいつもみたいにぼーっとしてたら・・・」


勝手に手が動いちゃったんでぃ







名前は総悟といった。沖田総悟。
そういえば一年に変わった髪の毛した奴がいるって誰かに聞いたことがある。
そいつが総悟だった。

理科室で衝動的に割りたい気分に駆られた総悟は、近くにあった木か何かの棒で窓を思いっきり殴ったらしい。
我に帰ってぼーっとしていたら、土方が来た、と。

うーんと腕組みして考える土方。
わかる。その気持ちはすごくわかる。
だがしかし思うだけであって、行動に移さないだろう。
相当ストレスたまってんのかな。

それよりこいつこれからどうすっか。

そう考え込んで、総悟を見つめる。
ぱっと視線が合って、恥ずかしそうに逸らすそいつ。
やけに細い腕が綺麗だった。

「・・・まあ、これからはもう割るなよ」
「へい」
「あの窓枠もどっか適当なとこに隠しとけ」
「へい」
「あ、ゴミ箱の中のガラスもな」
「へい」
「幸い、先生らにはバレてないんだからよ」
「・・・へい」

しょぼん、と肩を落とす。
もう、なんだっていうんだ。
それにと続ける土方。

「そんなほっせぇ腕で棒振り回したら駄目だろ」
「?」
「もったいねえ。綺麗なのに」
「・・・!!そんなことありやせん・・・よ」
「傷ついて。大事にしろ自分の体」

で、と声を荒げるとびくりと震えた。


「これから何もすることないんなら俺と同じだ。付き合え」
「何に?」
「どっか行くんだよ。どっか。そうだなとりあえず腹減ったし」
「ええっ」
「マックでいいか。もう。無難な。」
「そんな俺なんかと!」
「いいの。っつーかお前ジュースくらいおごれよ。見逃してやってんだから!」
「それはいいでさぁでも」
「いいから。ついでだとでも思え!おごるついでついで」

でもでもと反論する総悟をひっぱって、さあマックの次はどこへ行こうかと頭の片隅で考えた。




まあ、一目みた瞬間からなんとなく放っておけないなって思っていたから、いいんだ。









***
その気があったら続けます。


あきゅろす。
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