その瞬間というものは後から思い出そうと思ってもなかなか思い出せないものです。何故なら俺はいつの間にかあなたに全部掻っ攫われていたのですからこの、心臓までも。




「土方さん?」


「・・・」




呼んでも聞こえてくるのは少しの息遣いだけ。目をつぶり心地良さそうにすやすや、眠っていらっしゃる。
仕事が忙しいからか副長はいつも、眠そうだった。




「と、し」





少しだけ呼んでみました。憧れであったこの呼び方。数える程の親しい友人しか呼ぶことを許されないこの呼び方。
ああ、こんな、眠っているあなたに言っても無駄なのにね。
俺は、俺は、いつもずるい人だから。
真正面向かって話せない相手でも、目をつぶっている今だけは素直に話しかけてみようと思うから。


「ごめんなさい、ねィ、俺は、昔から、どうしようもなく天邪鬼で、餓鬼で、・・・」


すらすら言えたらいいのに、キリリとしたあなたの目を見ながら、こんな風に言えたらいいのに。


小さいころから思い続けていたこの気持ちは名前を持って恋になってしまったごめんなさい



「すき、」






いつの間にかふるえていました。瞳も、手も、こころも、

こんな俺に想われるなんて、迷惑なだけなのにね。




「今だけ・・・今だけは、言わせてくだせぇ・・・」




つらい心臓をぎゅっとして、立ち上がろうとしました。でも、できませんでした。

ひとつはいつまでもこの人の顔を見ていたいと思っていたからですが、でもね、



「ひじ、かたさ」

「・・・」



ああ、ああ、もう、聞かれていたなんて、この俺が、俺が、ペテンに賭けられるだなんて、
抱きしめ、られるなんて


「あ、あの、えっと、今のは、・・・っ、」


ごめんなさい・・・っ



「謝るなよ」



嬉しいと思う俺を許して。
愛しいと思う俺を許して。

小さな頃から在った感情をひた隠しにしてきた俺を許して許して、!


「ったく、何を言い出すかと思ったら、こんな可愛いことを囁かれて、たまんねェよ」




俺も好きだよ。




とんでもない台詞が飛び出たときにはきっとこの小さな心臓は締め付けられて、逃れられないでしょう?


久しぶりに合わせた瞳は綺麗でした。あなたはいつも綺麗。
ドキドキ、する



「本当に、俺も、すきで」

「クス、落ち着けよ」


大きな両手で包まれ近付く触れる温かい柔らかい気持ちいい


「あふ」

思わず浅ましい俺は身体をくっ付けて抱きつきました
ぴったり隙間がないくらい思えば恥ずかしい、格好、


「あ、ん」





 (とまりそうな、くらい)









あ、あああもっとぐるぐる感を出したかったのに
せっかくナイスなタイトルを思いついたのにだめだー!久しぶりの更新なのにセンスゼロな叶でごめんなさい(土下座



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