衝動的にキスをする







突然キスがしたくなった。

暖かくなってきたからか、たまにそのような衝動が起こる。
春になると変態さんが増えると言うが、その気持ちもわかる気がした。

巡回中に沖田はぬぅと眉を寄せる。

どうしようか。
ただでさえ土方にべたべたとくっついているのだ。
いきなりキスしたいと言っても迷惑なだけだろう。
しかし我慢できるほど沖田も大人ではない。

「むぅ、でも今更かもしれませんしねィ・・・」

そうだ。いつも隊士がうざがるほどにいちゃいちゃしているのだ。
今更そのようなことを言っても、別に土方は平気かもしれない。

隊士の迷惑やら考えずに(だって迷惑だろう。目の前でバカップルを発揮されまくるのだ!)、ちょこちょこと屯所へ後戻りした。






「ちゅーしてくだせェ」
「は?」

甘かった。
今更なんてそんな事この副長には通じなかった。
思い切り甘えるときは別に何も思わないらしいが、いざ甘いことをしようと言われるとこのような反応にでるらしい。土方は。

くっそーこの俺が恥ずかしげもなく言ってやってるのに!


「あ、わり、すねんな」
「すねてません」
「どの口が言う・・・」

つんと唇をとがらせてそっぽを向く。
あーあ、無駄だった。キスしてェよう。
ぐるぐると心の中でそう思う。
くやしい。
このまま引き下がれるもんか!

「やっぱ諦められません!ちゅーして!」
「諦め悪!」
「何言われようとこの衝動は止められませんぜ!」
「はぁ、ま、嬉しくないことはないけど」
「何ごちゃごちゃ言ってんでィ!ちゅーしてちゅーしてちゅーして!」

「―・・・、はぁ」


























「・・・ぜー、ぜー、ぐ、はぁ」

「はい、すげェした。総悟がびっくりするくらいした。」
「まさか・・・こんな激し、の、くれるとは・・・思ってなかったです、ぜ」

ぐたぁと四つんばいになった沖田を眺める土方。
思い切り深いのをくれてやったらしい。


「別に嫌とかそんなんじゃねェんだよ。理性とかその他もろもろな意味でな」
「クールな顔して何いってんでぃ・・・」
「嫌?」
「そんなことは・・・」

ぽっと顔を赤く染めた沖田によしよしと頭を撫でてやる。
土方はふ、と口元を上げた。

「(あ、すごい優しい顔・・・)」
「?」
「・・・」

不意打ちの笑顔にどきどきと心臓が鳴る。
はぁ、この人は、俺のツボをつきすぎている。
沖田は思い、溜息をした。


「・・・てめェ、そんな顔すんな」
「へ」
「すごいえろい溜息。誘ってんのか?あ?」
「えっそんなわけじゃ・・・!」
「聞かねえよ」


とさりと押し倒されて上に土方が。
フンと見下ろされて左胸が早鐘になった。

「え・・・え・・・!」
「だから、キスしたくなかったのに」
「ひじ、ひじ」
「もう我慢なんてきかねェよ。なぁ、総悟。お前もそう思うだろ?」

ゆるりと唇同士を擦り合う。
たまらずぺろりと舌なめずりをした。

「お、その気になった?」
「・・・、う」
「大丈夫、うんと優しくしてやるよ」



首筋に埋める彼の黒髪が視界の端に写って、あれ俺ちゅーしたかっただけじゃなかったけ。

沖田はぐるぐる考える。でも熱を持ってしまった処にさわりと手が動いたから、




甘い声をあげるしか、手段はなかった。









END





***
キスしたいってねだる総悟が書きたかっただけです(^ω^)


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