(パロっぽい)
俺の街にはヒーローがいる。
やさしすぎた黒白のヒーロー
うわああああああああああん
落ち着けええええええ今取ってあげるからあああ
綺麗な青空が広がっている。
ちょっと田舎っぽい住宅街が沖田の住んでいる街だった。
そこの道路どまんなか。泣き叫ぶ小さな男の子と慌てふためく土方が。
学校は昼過ぎに終わって、帰る途中に事件は起きた。
静かな街に似合わないサイレンのような声。
男の子は木に風船がひっかかってしまったらしい。
「うわああああだってあれはおかあさんがああああ」
「泣き止めえええいいこだから!ほら今取ってやる!」
よしよしと男の子の頭を撫でて結構な高さの木によじ登る。
まったくこの人はとんだお人よしだ。
沖田は他人のようにぼーっと土方を見ていた。
「くっそ、上だな・・・ひっかかってる」
「にいちゃんー」
「黙ってみてろ」
ぐずぐずと泣く子に笑みを見せて、優しい彼は登ってく。
どこのヒーローだ。
絶対に内緒だが、沖田はひそかに彼をヒーローと呼んでいた。
この前だって、信号無視の女の子をひっつかまえて説教していた。
説教というほど厳しくはないのだが、幼い子にも分かりやすいしっかりとした口調で話す。
そのこがぼーっとして頭に入っていないだろうとは思っていたが、まさか好きだと告白するなんて思わなかった。
ヒーローはモテる。
土方もしかり、モテまくっていた。
「ほら、取れたから。泣き止めよー」
「にいちゃん、きをつけて、おりるときがあぶないって、きいたよ」
「うんうんわかってるよ」
するすると降りてくるヒーロー。
そういえば配達のバイトもしていた。
この前なんか、配達先のキレーなねえちゃんに家にひっぱられそうになったと話していた(聞いた沖田は蹴ってやった。股間を)。
モテる彼がうらやましいとかそんなんではない。
悔しいがそれは違う意味。
沖田も彼が好きだった。
「よし、これでいいな」
「ありがとー」
「もう飛ばすなよ」
にこっと笑うヒーローを見てきゅうううと胸が締め付けられたのは多分気のせいではない。
その笑みが自分に向けられたらいいなと思うのだが、いかんせん土方と沖田はケンカ友達だった。
向けられた男の子がうらやましくてしかたない。
「・・・おつかれ」
「おう、ああ、疲れた」
ばいばい、と手を振って帰っていく男の子に、これまた満点の笑顔を見せて。
そこらへんの女なら卒倒するぞ。
そう思いジロリと横目で彼を見た。
「・・・あ?」
「ん?」
「何」
「何でもない」
「ハァ。何だよ」
「・・・やさしすぎまさァ。そのうちバカ見ますぜ」
「んー、まあ今のところバカは見てないからいいんだよ」
いや、違うと訂正し笑う。
「バカいたわ。お前。」
「はあああ!俺バカじゃありやせん!」
「風邪ひくか?」
「・・・・・・」
「ほらバカだ」
くすくすと笑う土方にばくばくと心臓が鳴る。
くそう、今度絶対風邪ひいてやる。
「あぁ熱っぽい。死ぬ」
「嘘つけ。バカだから」
「死ね!」
ばしばしと叩くと眉を寄せる。
あ、ごめん、怒った?
「・・・」
「あぁー違う。俺優しくないから」
「えぇ?嘘でしょう。やさしすぎですぜ」
「嘘だから」
意味ありげに視線をずらす。
ヒーローは悩みがあるらしい?
「ほっとけないだけだから。っつーか、ほっとく自分が嫌みたいな」
「???」
「嫌な自分、悪い自分になりたくないだけだよ」
自分を高く上げて綺麗な自分を作りたい。
そう言って彼はさみしそうに笑った。
「そ、んな」
「だからな、総悟みたいに自分に正直な奴のがいいんだよ」
「だからって」
「ん?俺は結構自分勝手だし」
「自分でそう言う人は自分勝手じゃないって・・・聞いた」
「ありがとな」
ぽんぽんと7センチ上の彼に頭を撫でられて、いつもならときめいているのに、悲しすぎてそんな暇なかった。
「でもなー、自分が正直になる瞬間はあるんだよ」
「土方さんでも?」
「うん。総悟といるとき」
どきりとした。
「総悟といるとなー、優しくしなきゃって気持ちがどっかいっちまうんだよな」
「え」
「さっきだって、普通に迷惑そうな顔したろ俺」
わりぃと謝る。
さっきって、眉よせた顔だよね。
「でも、俺は、嘘で優しくしてほしく・・・ない」
「そうか?よかった。でも何で総悟には正直なんかな俺」
やっべ恥ずかしくなってきた
ヒーローが初めて顔を赤くした。
こっちが恥ずいわ!
そう思い沖田は下を向く。
・・・上げたらあの笑顔があるとも知らずに。
歩いていく住宅街はいつの間にか紅く夕日に包まれていた。
END
***
優しい土方さんが書きたかっただけ・・・ですorz
まとまってない話ですみませ・・・!
黒白はあれです黒いけど白い人だよねっていう・・・(優しさが
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