ヒバ

アニリボヴァリアー編OPがあまりにもヒバツナだったので。











ずるずるずるずる


え俺何かしましたか






自慢ととヒバリさん






バリビリッ!

「おわわ!?」

俺の丁度真後ろ。外から何かが破れる音がした。
しんと静まり返った今は放課後。中学の、自分の教室で荷物をまとめていたらその音が突然聞こえてきた。

補修を受け終わりやっと帰れる、と思いのんきに鞄の中身を整理していたのが原因だ。完璧に気を抜いていた。いや、抜いていなくても驚くかな?俺は結構なビビりだから。
・・・何故補修を受けていたのかというと、前のテストで赤点を取ってしまったからだ。言うまでもないけどね・・・。

それより何の音だろう?
あまりに驚いた俺は後ろにひっくりかえってしまった。うわ何て格好悪いんだろう!完全にひっくりかえることはなく、椅子が上手い具合に俺の体を支え斜めの体制で止まった。それでも十分格好悪い!

なんなんだよもう!

と頭の中で文句を叫ぶ。・・・本当に頭の中で済ませてよかった。窓の外に誰かが立っていた。目を丸くして、瞬きをして、凝視する俺。

あれ・・・?これ、もしかして。


「ひばり・・・さん・・・」

「・・・・・・やっぱりいた」


ぎゃー!

なんで俺がここにいるって知ってんのしかもここ三階だよいやそれよりもこえぇ!!!
と俺は一人で脳内ツッコミを繰り広げた。だって声に出そうものならいつもの名台詞、「噛み殺すよ」で瞬殺されかねない!

あわあわと口を開閉した俺は窓に何か大きな布が覆われていることに気が付いた。・・・何これ?

「・・・」

ヒバリさんは俺を見て無言。
その無言すら怖くて俺は何も言えない。するとヒバリさんの方に小さくて可愛らしい黄色い小鳥が止まった。
あ、かわいいなぁ。
と思ったらヒバリさんが片手を上げた。何かが握られている。ケータイ?いや違う、何かのリモコンの様だ。
俺を何故か凝視したままヒバリさんはそのリモコンのボタンを押した。
ピ。
と音がしその後ブォォンと奇怪な音が当たりを占める。

「???」

とうとう俺は意味が分からない。
眉を寄せてヒバリさんを見つめた。

「・・・うん。君」

「はいぃっ!?」

やっと口を開いたかと思ったらヒバリさんが窓から教室に飛び込んできた。
ゴンドラを降りふわり、スローモーションでヒバリさんが動く。何だろう、すごくかっこよく見えてしまう。情けなくひっくりかえってしまった俺とは大違いだ。・・・比べること自体、失礼なんだろうけれど。

がしっ


「!?」


俺の来ているセーターが後ろにぐぃと引っ張られた。
ん?何これ?

「いたたな、な、なー!?」

「黙ってついておいで」

なんとセーターをヒバリさんが掴んでいた。まるで首ねっこをひっつかまれずるずる引きずられる犬みたいな俺。

え、何したんだろう俺・・・っていうかこれから何されるの!?

廊下をずるずる引きずられたまま俺は途方に暮れた。もしかしてこれから噛み殺されちゃうのかな・・・今日は別に群れてなんかいなかったのに!
怖くて悲しくて目を瞑っていると、


「ホラ、ついたよ」


え?
ぱっとセーターから手を離され俺はそのままずっこける。ぱちり開いてヒバリさんを見上げるとやれやれ、とでも言いたそうに目を細めていた。うわぁ、呆れられた!恥ずかしい!

というかここは・・・

「グラウンド?    ―!」



桜。



いつもの殺風景なグラウンドが、綺麗な桜色に包まれていた。


目の前広がるピンクの光景に俺は圧倒される。
すごい・・・!
こんな桜並木見たことない・・・!
俺は我も忘れてただただ桜を見つめていた。どこだか分からなくなってしまいそう。本当にここは並盛の中学校なのだろうか?


「どうして・・・!」

「これね、学校に巨大なスクリーンを掛けて写してるんだよ」


興奮のあまりヒバリさんに尋ねると丁寧に教えてくれた。一対一で喋ったのは初めてかもしれない。こんなことを言ったら失礼とか、噛み殺されるかもしれないとか、そんなこと考えている暇はなかった。だって、すっごい綺麗だったんだもん・・・!


「き、きれ・・・い・・・」

「でしょ」

「はい・・・  ん?」


ぼんやり見とれている俺は途中で我に返った。
え、え!?今俺すごい慣れなれしくヒバリさんに話かけていなかったか!やばい!殺される!
ひいいと一人テンパる。やっぱヒバリさんこわいよう!

「この学校にはね、桜があるにはあるんだけど、物たりなくて」

「っ!」

「なんか、豪華にできないかなって思って。」

「・・・」


並盛中の桜はお世辞にも多いとは言えない。
入学シーズンに咲き誇るそれは、人々の目には止まるものの圧倒されるまではないのだ。
派手なことが好きなのだろうか、ヒバリさんはもっと沢山の桜を中学に咲かせようと考えたらしい。スクリーン作戦の秘話である。

すごいや、ヒバリさん。

俺だったらこんなこと考えもつかないもん。
しかもそれを行動に移しちゃうなんて、すごい人だなぁ・・・。

なんて思っていたら。


「すごいでしょ」


自慢げにヒバリさんが笑った。口元を上げ、自信たっぷりな顔。
慌てて俺はそれに同意する。本心だけど、それ以上に怖いから・・・!

「はいっ!すごいです」

「すごくおっきいでしょ」

「はい!すごくおっきいです!」

「この散り加減、最高だと思わない?」

「最高です!」


「うれしい?」

「はいとても!・・・え?」


肯定した後思わず赤面。

え、あれ?自慢話じゃなかったの?

聞き間違いじゃ・・・ないよ、ね?


「ねぇ、ほんとう?」

「ひ、ヒバ・・・!」


赤い顔のまま固まっていると、ヒバリさんの右手がすっと俺に伸びてきた。びくりと肩を震わせ少し身を引いてしまう。けれど、拒絶することはできなくて。

とうとうヒバリさんの手が俺の頬を撫でてきた。するり、大きな綺麗な手が、俺の、頬に、
ヒバリさんが覗き込んできた。

「君に見せたかったんだよ?」

「え・・・!?」

嘘・・・!

信じられないセリフを顔近くで囁かれ身体の震えが止まらない。どうしよう、何で?どうして?そんな疑問が頭を渦巻く。それと同時に身体全体が熱くなる。熱でも出たみたい・・・。
どんどん近くなるヒバリさんの顔。だめだ、それ以上近寄っちゃ、誰かにみられちゃうよ・・・!?
けれど俺は逸らすことができない。だって、ヒバリさん、綺麗で、格好良く、て、


「ね、綱吉」


「っ、ぁ・・・!!」


唇と唇、ギリギリの距離、低く甘い声でそう呟かれ俺は爆発してしまいそうだった。
名前を呼んでくれた・・・。平凡で目立たなくて、何でもない、並盛の一部でしかない俺を、ヒバリさんが、名前で・・・!

何故かどうしようもなく嬉しくて、たまらなくて、俺は思わず目を瞑ってしまう。瞑った後で、誘ってるとか思われたらどうしよう・・・!と思ったけど、もう遅くて。


「綱吉」



来る・・・!




「えっ!?」

「クスクス、何もしないって」


恥ずかしい期待をしていた俺を裏切り、ヒバリさんは可笑しそうに方を震わせていた。うわぁぁぁ俺の馬鹿!なんてばかなんだ、そんなことヒバリさんがしてくれる訳ないだろう!

「う、うう、」

「あぁ、ごめんね。あまりにも君がからかい甲斐のある顔してたから」

「!?」

「その顔」

目を細めて上機嫌なヒバリさんは何故か俺の頭を撫で始める。
うわーうわー俺頭撫でられちゃってるよ!っていうかその顔ってどんな顔だ!

「でもさすがだよねこの桜」

「・・・」

じ、自慢に戻ってしまわれた・・・。

俺は若干複雑な気持ちになりながら桜に見とれるヒバリさんを盗み見る。いや、別に、桜に負けたのが悔しいとかそんなんじゃないよ、多分!

「あ、君暇があったら応接室来なよ」

「!!!?」



「来るよね」

「来ます」



怖いくらい綺麗な顔でにっこり微笑まれちゃ俺は逆らえない。えええ応接室に来いってどういうことだ、俺何されるの!?
混乱して青ざめる俺に一つ、呟いてヒバリさんは踵を返した。


「さっきの続きしてあげる」



・・・俺は、
俺はどうかしちゃったのかもしれない。
たしかにどくり、心臓が期待に震えた。
さっきって、さっきって、もしかして・・・!?



思わず両手を頬に充ててしゃがみこむ。
のこのこ行っちゃいそうじゃないか!
餌を目の前ちらつかせ、去って行ったあの方が憎い!




ああヒバリさん!これもあなたの計算の内ですか!






END
***
昔書いたヒバツナをリメイク
だいっぶ下手っぴでしたね私・・・!あんなもんずっと置いてて恥ずかしいです。これで読みやすくなったかな・・・
ヒバツナ可愛いですよね。ツナ可愛い。先輩×後輩の王道みたいなヒバツナが好きです^^
それにしてもツナ動かすとギャグちっくになるな・・・。
楽しかった!


あきゅろす。
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