銀新(激甘!)
それは春のうららかな、昼下がりの出来ごとだった。
この気持ちを何と呼ぼう。
「平和だなぁー・・・」
「クス、そうですね」
ごろりとソファに寝ころび、ぼんやり空中に目をやる。銀時は目を半眼にしてつぶやいた。それを聞いて新八は微笑む。確かに今日は、いつものはちゃめちゃな出来事はなさそうだ。
洗濯物を干しながら、青空を見上げた。
「クレイジーガールはいねェし、平和だ・・・」
「神楽ちゃんがいるとにぎやかですけど、今は静かですね」
神楽はただ今遊びに出掛けている。もちろん定春と一緒だ。
今万事屋には銀時と新八のふたりしかいない。
「なんかこう・・・ぼやっとした時間も必要だよ。うん・・・」
「もう、」
ぱんぱんと洗濯物を叩きながら銀時の言葉を聞く。手伝ってくださいよ!と声をかけるのは簡単だが、あまりに銀時が幸せそうに寝転がっているのでそんな言葉は言えなかった。
「なんかよぉ、おれ、すごい幸せだよ。神楽がいて・・・新八がいて・・・」
「あはは銀さん、寝ぼけてるんですか?いつもそういうこと言わないのに」
「うーん・・・」
ぽーっと新八を眺めている。さすがに居心地が悪くなり、銀時から目をそらす。なんだか、今日の銀時は変だ。とても素直だし。けれど何故か気持ち悪いとは思わなかった。
「家族・・・みてぇだよな・・・」
「へ?あぁ、まぁ、家族、ですね」
「いいな・・・かぞく」
銀時はへにゃりと微笑み目をしばたたせた。何だこの人は。そう新八が思った矢先、銀時がゆっくり起き上る。
「あ、そうだ、神楽が娘でー俺が父親でー・・・」
「・・・」
「新八が、お母さん?」
「・・・!」
何だそれ。
新八は真っ赤になった。
「あ、あ、やばい、いいかも、そう考えたらすっげいい・・・!」
「え、えぇ?銀さん?」
さっきまで目が半分しか開いていなかったのに今はどうだ、とても輝いている。さっきまで眠たかったんじゃなかったのか。
「どうしよう・・・!新八が奥さんとか、やべぇ、自覚したらやべぇ、俺幸せすぎる・・・!」
「えええええ!ちょっと落ち着いてくださいよ!本気で寝ぼけてますってアンタ!」
「寝ぼけてねぇもん」
もんとか言っちゃってる時点で完璧に寝ぼけてんの!そう新八は叫び顔を隠す。もう恥ずかしくて仕方がない。何でこんなに素直になっちゃうの、そして何で万事屋のポジションを今更自覚しているの!
「ねぇ新八・・・怒った・・・?」
「うひゃっ!」
いつの間にか銀時は新八の後ろに来ていて、心配そうな顔をしている。
しょぼんと肩が下がっていて、叱られた子供のようだった。
「俺、おっさんだもんなァ・・・こんなダンナ、嫌だよな」
「ち!違!ちがうちがう、嫌じゃありませんて・・・!」
言ってはっとした。これじゃぁ、銀時の言葉を真に受けているみたいじゃないか。
「え、やじゃない?本当?」
「・・・う、銀さんこそ、本気で僕が奥さんでいいんですか」
「あたりまえじゃん。」
家事ができて優しくて、いいこで、こんなに俺の世話をしてくれた奴、今までいないよ。
そう言う。銀時は、まっすぐな目で。
本気だった。
「・・・っ、ぎんさ、」
「新八、俺の奥さんになって」
「〜!!」
正直泣きたい。嬉しくて。
その気持ちをそのまま身体で表現するとそれは銀時に抱き付くという形になった。ああ、ああ、もう、もう、大好き、大好きです。
「銀さん、銀さん、」
「何?・・・今まで当たり前すぎて、新八のこと大事だって、ちゃんと自覚してなかった。ごめんな。」
ちゅっと額にキスをされた。
そしてぎゅうと抱きしめられる。密着した身体が暖かくて、暖かくて。
「いいです、よ。気付いてくれて、うれし、です」
「好き、新八」
「ふ、」
ああだめだ。今度こそ涙腺が、あ、あ、やばい、本気で、泣いちゃうから。
「うぇっ、好き、僕も、すきです」
「どうし、た?泣くな」
ぺろりと目尻を舐められて、新八はひゃっと身をすくめる。
「えと、嬉し、くて、ひぅ」
「本当?俺も嬉しいよ」
「もう、銀さんは、僕の旦那さんなんですね?」
「あは、新八は俺の奥さんだもんな」
「神楽ちゃ、は、娘ですね?」
「坂田さんファミリー。完成」
額をくっつけ合い笑った。そのまま顔が近付いて唇同士が触れる。
「ん、」
「ちゅ、」
抱きしめる格好はそのままに、二人は何度も何度も唇を重ね合わせた。
頬に添えられた大きな手が、安心する。ああ、この気持ちを何と呼ぼう。
***
めっちゃデロ甘。銀新を一回は書いてみたかったので良かったですー!
銀新はでろでろに甘くすると前から決めていたので(そうだったの)すごく楽しかった・・・!
それにしても銀さんかわいく書くのびっくりするくらい楽しいです。新八くんは何もしなくてもかわいいからいいけれど。銀新はかわいい。
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