※声フェチ総悟と不良な高杉

注意書き

 総悟が声フェチです。そして高杉と何故か仲良い感じ。
 3Z。
 うっすら緩く土沖。
 高+沖だと思い…ます。








「高杉ィ、ちょっと喋れィ」

「は?」


五限目。
だだっ広い青空が広がる屋上で、高杉は沖田に話しかけられていた。
彼とはクラスメイトだが、あまり話というものをしたことがない。何故いきなり、しかも授業中に話しかけてきたのだろうか。疑問が浮かび高杉は不審な目を寄越した。

「…何だ、いきなり。っつうか今授業中だろ、教室行かなくていいのか」

「うんうん、そのまま何か喋ってろィ」

フェンスにもたれかかる様に座っていた高杉の隣、沖田が頬をひくつかせながら座った。…何故隣に座る。高杉は少し身を引いてさらに疑問を投げかける。

「…は?喋らァ何でもいいのか」

「はぁ、うん。声聞くだけで満足でィ」

両手を口元にやり。
沖田は目を細め前を向いていた。綺麗な横顔を眺め高杉は眉をひそめる。
…何だこいつ気持ち悪ィ。
なんて思いながら。

「授業はいいのかっつってんだよ」

「たまにはサボりたい時間もありまさ。ってかお前もだろィサボり魔」

「っせ」

しばしの沈黙。
さてどうしたもんかと高杉は途方に暮れた。
目線もどこに寄越したらよいのか分からなくて、汚れた屋上の床を眺めた。ざらついて真っ黒に染まっている。雨晒しにあっているからだろう。
なんて、どうでもよいことを考えていると。

「…良い声してますねィ」

「!?」

ぴくり、高杉の片目が動いた。
はー何言ってんだこいつ!?と珍しく高杉は動揺する。もちろん表には出さなくて、心中で思った程度だが。

「……何、声フェチって奴かテメェ」

「あっバレた、実はそうなんでィ」

「……へー……ってか男の?」

「……」

こっくり頷いた沖田を横目に、高杉はぼんやりと「ああ、そういう趣味なのか」と納得していた。

「で、俺?」

「うん。うちのクラスで良い声いないかなって考えた結果が高杉でィ」

「へェ、俺の声良いのか…?自分じゃ分かんねェがな」

「いい感じに低い低音ボイスでさァ。低すぎなくて、ああでも高い声も想像できて…。や、とにかく良い声してますよ」

「……うーん」

こきこきと首を回しながら高杉は考える。
まぁ、良い。声を褒められたのは初めてだが、悪い気はしない。それも沖田だ。厳つい野郎に褒められたら気持ち悪さは相当だろうが、何故か沖田は気持ち悪さがほとんど無い。まったく無いと言ったら嘘になるが(一応男なんだし)、沖田の言い方もさっぱりとしていて素直に受け取ってしまう。

しかし、だ。
自分以上に良い声の主は居るだろうに。それも身近に、居る筈なのだ。

「おめェさん、土方と仲良いよな?」

「……腐れ縁でさァ」

「土方の声はどうなんだよ」


「……」


ああ、聞くだけ無駄だったか?
高杉はぼんやりと青空を眺め一服したい衝動に駆られた。沖田が。

沖田が両手で顔を覆い震えていた。


「………高杉ィ、」

「……何だ」

「……土方さんの声ってやっぱ普通の人が聞いても良い声ですかィ?」

「まぁな」

ふはぁと奇妙な溜息が隣から聞こえ高杉はげんなり。そして興味が出た。質問を投げかけることにする。

「何、土方の声そんなに好きなのかィ」

「まァねィ、普通に喋ってる時はそんなないんでさァ、でも本気出すとやばいんですよ」

両手で口元を隠しながら、沖田はそう言った。興奮気味に紡ぐその口は緩んでいた。隠しきれていない口の端がしっかり見えた。

「お前やべェなァ。変態だろ」

「言ってろィ」



流れる雲を見つめ高杉は溜息をついた。煙草を取り出そうとした瞬間、沖田が。

「溜息もえろいですね」

なんて言ったがきっと気のせいだと思いたい。





***
すみませんでした
170cmコンビ。何だろうこの二人。意外と萌えました。
いつか170cm組話に挑戦したい…。
ナチュラルに土方の声を褒めている高杉に違和感拭えないですが←
3Zで良い声って土方以外誰がいる?と考えた結果です。高杉良い声しちょる。


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