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短編
襲われる兎の話




僕は暗闇の中ぼんやりと意識を覚醒させた。
確か虎徹さんに俺の家で飲まないかと誘われて、僕は彼の家で二人で酒を飲んでいた。

彼の家に上がったのは久しぶりで照れ臭い気持ちを誤魔化す為にいつも以上に酒を煽って。
疲れた身体には酒が良く回り、とても良い気分になった事だけは覚えているから、どうやら自分は彼の家で寝てしまったのだろう。
虎徹さんには悪いことをしてしまったな、と僕はそう思い、起き上がろうと両腕を動かした。
しかし、両手は何か紐状のようなもので縛られていて、動かすことは出来なかった。
僕は自分が一体どうして縛られているのか疑問に思い首を傾げた。
首を傾げると視界の端に淡い光が入ってきて、僕は自分が目隠しされていることに気付く。
まさか強盗か…?
僕はこの部屋に虎徹さんが居るか、犯人が居るか、周囲の気配を窺った。
不意に僕の下で布の擦れる音が聞こえて、僕はそちらに意識を向ける。
そっと這い上がる人の気配に意識を傾けるとそれは虎徹さんのもので、僕は何をやってるんだと文句の一つでも言ってやろうかと思い口を開いた。
しかしその言葉は、彼が僕の服を脱がし始めたことによって言えなくなってしまった。

彼も大分酔っているのだろう。震えた指先が懸命にボタンを外してくるのが振動でわかる。
もたもたとボタンと格闘して、全てを外し終えた虎徹さんははぁ、と熱い吐息を吐き出し僕の鍛えて引き締まった胸板から、腹筋へとゆっくりと手を滑らせた。
くすぐったい感覚に僕はピクリと身体を動かすと虎徹さんはふと笑みを浮かべて、今度はズボンへと手を伸ばした。
ベルトの金具を取りはらうとゆっくりとズボンから引き抜き、ファスナーをじりじりと下ろす。
ふと我に返って流石にこれ以上はまずいと僕は虎徹さんの名前を呼んだ。

「虎徹さん、何をしてるんですか」

ビクッとファスナーを下ろす手が震えて、虎徹さんの手がそこから離れた。
どうしようかと思案する動きが気配で伝わる。

「…おきてたのかよ、バニーちゃん」
「強盗かと思って息を潜めてたんですよ。それより何をする気だったんですか」
「あー…えっと………」

僕の言葉に虎徹さんは口を噤んだ。
どうせくだらない悪戯でもしようとそう考えていたのだろう。
…というよりもそうであって欲しい。
あーとか、うーとか発している虎徹さんに僕はもう良いですと早々に切り上げて、縛っているものを外して下さいと彼に言った。
しかし虎徹さんは動かない。
僕はもう一度外して下さいと強めに言うと、虎徹さんは何を思ったのか僕のズボンと下着を一緒に脱がし始めたのだ。

「ちょ…虎徹さん!?」
「ごめん、バニー。俺もうがまんできない」

彼がそう言い終わると同時に外気にさらされた僕のペニスが虎徹さんの口の中へと導かれる。
生温かい感覚と舌先の熱さがダイレクトに伝わり、僕はぶるりと震えあがった。

「うあ…っ…ああっ!」
「バニーの…ん、む…」

まだ勃起していない僕のそれを虎徹さんは口で懸命に奉仕している。
裏筋から亀頭にかけて舌の尖ったところを使って何度も舐め上げて、袋の部分を指先でやんわりと揉んでくる。
目隠しされたままの僕はいつも以上に触覚が研ぎ澄まされて、それだけで簡単に勃起してしまう。
虎徹さんは勃起した僕のペニスに満足そうにちゅっちゅとキスを落とした。

「ふはー…立派だな、バニー」
「…っ…」
「きもちい?」

人差し指で先端を刺激されて思わず腰が浮いてしまう。
早く出してしまい衝動に駆られて僕は虎徹さんの名前を呼んで、目隠しと拘束された手を外して欲しいと懇願した。

「だーめ!外してやんない」

しかし虎徹さんは外す気はないらしく、僕の上へと乗りあがった。

「こ、こてつさん…っ!!」
「おまえは大人しくしてろって」

肩を押されて僕はカーペットの床に縫い付けられる。
虎徹さんはゆっくりと僕に跨って、ごそごそと動いた。
くちゅくちゅといやらしい音が耳に届くから、きっと彼は自分の後方を自分の指で解しているのだろう。
虎徹さんは小さく窄まった箇所に自分の指をゆっくりと入れて、僕の上ではぁはぁと荒い息を吐き出した。
気持ちいい場所を必死に探して指を動かして、人差し指を奥へ奥へとどんどんと誘っていく。
中はきゅうきゅうと熱くて狭くて、最初は苦しそうに息を吐き出しながら呑み込んで、虎徹さんは入れたり出したりを繰り返して気持ちいい場所に当たるように動かした。
一本でも辛かった場所が次第に二本三本と指を銜えこみ、虎徹さんは自分のいいところを見付けて身体をしならせ、ああっと声を上げる。
僕はそんな虎徹さんの淫乱な姿を想像をしてごくりと唾を呑み込んで、彼の名前を何度も呼んだ。

「虎徹さん、虎徹さん…」
「んぁ…あっ…あ、ん…」
「触りたい、挿入れたい…虎徹さんっ!」
「触るのは、だめ…だ、けど、おまえの…欲しいから、んっ」

耳元で虎徹さんの甘い掠れた声が耳に届いて、僕のペニスは堅く張りつめていて。
虎徹さんは僕のそれに優しく手を添えると自分の尻たぶを片手で器用に開いて、ヒクヒクと蠢く小さく色付いたアナルにゆっくりと埋め込んでいった。

「…あ…ッ……」
「ふぁあっ…あっ…」

虎徹さんの中は凄く熱くて柔らかくてそして容赦なく僕のものを呑み込んでいく。
僕は挿入されただけなのにもう達してしまいそうだ。
それでも虎徹さんは気持ちいいことに夢中で、そんな僕を気に止めることなくすぐさま僕のペニスを使って抜き差しを始めた。
ギリギリのところまで引き抜いて、奥の奥まで腰を下ろす。
カリが虎徹さんの内壁をぐりぐりと抉る度に虎徹さんは声を上げて快感に震えた。
その度に物凄い締め付けが僕のペニスに襲いかかり、僕は歯を噛み締めて何度もイクのを堪えた。

「ぁあっ、バニーのっきもち、いいっん…あ、」
「バニー、ばに…のがあ、たるぅ…っ」

ぐちゅぐちゅと結合部から聞こえるいやらしい音がどんどんと速度を増す。
虎徹さんのペニスからどろどろとした濃い愛液が滴り、僕の腹部や太腿を濡らして、虎徹さんの限界が近いことを理解する。
僕は虎徹さんの動きに合わせて腰を激しく動かした。
奥へ奥へと捻じ込むように、いいところを抉り込むように。

「あっ、あっ…あぁあああ!!!」
「っくぅッ……!」

最後に思い切り前立腺を目掛けて僕はペニスを打ち込んだ。
虎徹さんは悲鳴を上げて、びゅくびゅくと白濁を流し、僕の腹から胸から顔にかけて飛び散らせる。
僕も虎徹さんの内壁の強い刺激に耐え切れず、彼の中へと熱く濃いものをドクドクと流し込んで、最後に全て流し込むように何度か腰を動かして残った白濁も綺麗に虎徹さんのお腹へと流し込んだ。

「あ、あ…んぅっ…」
「はぁ…はぁ…」

虎徹さんは擦り寄るように僕の身体に圧し掛かり、僕にキスをした。
まるで猫のようなその仕草に僕は思わず笑う。

「ばにー、すき」
「僕もですよ、」
「俺の方がすき」
「僕の方が好きですよ」

だってあなたは酔っ払ってますから。そう言えば、酔ってないと虎徹さんは返して。
僕に抱きついたまま潤んだ金色の瞳を閉じるのだろう。
何て可愛らしい人なんだろう。

「…せめて目隠しを外してもらえたらよかったんですが…」

すっかり酔いが覚めてしまった僕は僕の上で眠りに付いた虎徹さんを起こさないようにハンドレットパワーで両手を拘束している紐を引き千切り、虎徹さんと僕の身体に付いた白濁の後処理をした。
本当は、この後を残しておきたかったのだけれど。
目が覚めた彼はきっとこの情事を忘れてしまっているだろうから。

「虎徹さん、虎徹さん。いつになったら…」

僕たちはこんな、強姦のようなセックスをやめられるんでしょうね?





相思相愛なのにお互いの理性が邪魔して好きだと言えない二人。
酔った勢いでしかバニーを襲えない虎徹と、それを何とか脱したい、けれど出来ないヘタレバニー。





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