For You





「壬晴ーっ」


前方に影を見つけて叫ぶ。


「凜」


「おはよう!あのね、これあげるよ」


そうそう、今日は彼の誕生日。私は先週まですっかり忘れていて、今日までの一週間脳が沸騰する程頑張ってプレゼントを何にするか考えた。結局、こんな形に落ち着いた訳だけど。


「何これ…ミサンガ?」


「うん。手作り…と言えたら良かったんだけど、残念ながら駅前の雑貨屋で買ったやつ(\80(税込み))」


「………ありがとう。」


表情が緩む事はなかったけど、その言葉を聞く為だけにこの一週間一生懸命に考えていたんだから、私は嬉しくて仕方なかった。
そのまま渡したミサンガ(\80(税込み))を壬晴の左手首に回し、言った。



「結ぶ時願い事を言うでしょう、ミサンガが切れると願いが叶うんだよ。壬晴の願いなら私が代わりに言ってあげよう」


「は?」


「"凜とラブラブになれますように"…っと。はい、これでオーケー」


結ばれたミサンガを見て、壬晴は微かに、本当に微かにだけど笑った。


「全く凜は勝手なんだから…」


「それが私の数少ない魅力(?)じゃない!」


「まあ、願いはあながち間違ってないからいいけど」


「え、何て?」


「何でもない」


「え、何!?教えてよー」





何て、本当は聞こえていたよ。ただ、まともに返事が出来ないくらい私は嬉しくて、そして照れていたから、照れ隠し。

今側に居られる事が幸せで、それ以上を望んだら折角の幸せも壊れてしまいそうだから、私はまだ隠しておこうと思う。とか言って、本当は先刻のだってかなり告白に近かったけど!ああ、ミサンガが切れる前に願いが叶ってしまいそう。

















(081010)
Happy birthday,壬晴!



















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