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2-4

「ん?あれだけ飾られてる。」


一つだけ壺の中ではなく壁に飾られてある大剣があった。舞白はその大剣に引き寄せられるように無意識にその大剣の柄に手を伸ばす。


『それに触れてはならん!!』   



舞白が大剣を掴もうとしている姿を見た老人ががいきなり大声を出し、舞白の元へ駆け寄る。いきなりの大声でハッと我に返るが、時既に遅く、舞白は大剣の柄を握ってしまっていた。

その瞬間、大剣から光が放たれる。光と同時に暴風も起こり舞白以外の近くにあったものを吹き飛ばす。老人もその暴風に巻き込まれて吹き飛ばされ、壁に背中を打つ。


「お、おじさん!!」


あわてて老人が飛ばされた方を向く。駆け寄りたいが、大剣から発生する暴風で下手には動けない。

『っ、大丈夫だ。それより坊主!柄から手を放せ!』

必死にそう伝える老人。

「ダメだ!離せない!!」


何回も離そうとしたが、そうすればそうするほど光は強くなり、風の勢いも増す。このまま手を離したら確実に家が吹っ飛ぶ。どうにかしなければと思うが一考になにも浮かばない。

「おじさん!手を離す他にこの暴風を止める方法はないの?!」


『…その大剣は己で主を選ぶ。お主が選ばれればこの暴風はやむ。しかしあり得ん。その大剣は何百年も主を持っていない!』


壁に掴まりながら老人は言う。舞白が柄を掴んでしまったその大剣は何百年もの間主となろうとする者を拒み、今となっては店の飾り物になっている代物だった。

何故、舞白は何百もある武器の中でこの大剣だけを手に取ろうとしたのか。

大剣が舞白を呼んだのか、それとも舞白が大剣を呼んだのか…、分かる者はいない。


暴風が発生してから数分。暴風は色々な物を巻き込み、埃を立て舞白の姿を隠していた。老人からは舞白の姿は見えない。

─────────
──────

暴風の中心部で未だ柄を握っている舞白。


「くそっ。」


早くしなければおじさんをもっと巻き込んでしまう。少し経てば暴風が弱くなると踏んでいたが、弱くならない暴風。それどころかどんどん強くなる一方だった。



(どうする?!柄から手は離せない、大剣に選ばれなければ止まらない、このままじゃっ、)






《お主に殺す覚悟はあるか?》











「なんか言ったか?!」

『何のことだ!!』


声が聞こえ老人の方に顔を向ける。埃のせいで顔は見えない。しかし老人からでは無かったようだ。




《お主に殺す覚悟はあるのか?》








殺す覚悟?


気付いたらこんな世界にいて分からない事だらけで、それでも冷静でいなくてとずっと自分自身に言い聞かせていた。だからそんなこと考える余裕もなかった。

いや…違う、あったではないか。魔物とあの男と出会った時、

自分も魔物を殺すのか?

男に付いた返り血を見ながら思った。そんなことを何の抵抗もなく思っている自分が怖くなりずっと考えないようにしていた。

殺したくはない。当たり前だ。
しかしそんな考えで生きていけるのか?この世界で。







「俺は…







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