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1-3

息を潜めようと思ったのに、足元の枝に気付かず踏んでしまい相手に気づかれてしまった。


グルゥゥ゙


化け物は振り返り、段々とこちらに近づいて来る。
息を押し殺し存在をなるべく消す。心臓が音が次第に大きくなる。汗がだらだらと止まらない。


(ここは日本じゃない、あんな化け物見たことがない。じゃあここはいったいどこなんだよ!)


こんなことになるんならさっさと家に帰ればよかった。そんなことを思っても過ぎてしまったこと変えられない。過去を悔いるより今この状況をどうするのかを考えなければならない。

舞白と化け物の距離わずか数メートル。

もう隠れていられないと判断した舞白は近くに落ちていた木の棒を握りしめ出るタイミングをはかっていた。そして今だ!!と飛びたそうとした瞬間、



シュッ───
グウオォオ゛



舞白が出るより先に聞こえる化け物の呻き声。
恐る恐る木の陰から顔を出すと、目に映ったのは、ピンポン玉ぐらいの青い玉と血を浴びている男の姿。持っているのは刀‥日本刀だろうか?そこに化け物の姿はなかった。

男は舞白の存在に気付き、青の玉を拾ってポケットにしまってから視線を舞白に変えた。

「そこで何をしている…」

「あ、いやっ、ええっと‥。」


突然の出来事に舞白はうまく返せない。男は灰色のウルフカットの髪に黄緑色の目、耳にはピアスが三個、Tシャツににジャケット、下はジーパンにブーツと言った日本人のような格好をしていた。鎧などはここでは着ないのだろうか。こんなことを考えていたのがバレたのかはぁ、とため息をつかれた。


「…ここは魔物の出現率の高い森だ。武器を持たないで何をしていた?」

「魔物?ってさっきの化け物のこと?」

「お前知らないのか?」

「っと言われましても…。」



舞白はここまでの経緯を男に話した。

「つまりお前は目を開けたら草原にいて、とにかく森から出ようと思って歩いてたら魔物を発見し木の陰に隠れていたと…。」

「その通りです。」

「って信じると思ってんのか?」

「信じられないのは分かります。俺だって他人からそんなこと言われたら疑いますし…。でも本当なんです。」

舞白は男の目をしっかりと見て答える。

「っ!まあいい。とりあえずこの森は夜になると魔物の出現率がさらに上がる。早く出て行った方が身のためだ。」

そういって男は舞白から視線を外し舞白とは逆方向へ向かって歩いていく。その姿をボーッと見ていたが、はっ、と我に還り急いで男の後を追う。


「あの!」

「…なんだ。」

「俺、この森を出たくても道分からなくて…、森を出るまでいいんでついて行ってもいいですか?」

そう、忠告通り魔物がたくさん出る前にこの森から出たいのだが道が分からない舞白にとってはこの男について行く他に森を脱出する手段がなかった。


「…好きにしろ。」


そのあとは会話もなく、ただ静かな森を歩き続けた。


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あきゅろす。
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