[携帯モード] [URL送信]

落乱
時次:捧げ物
Flower Gardenのサクさんに勝手に捧げる時次(もどき)です。
勢いで書きすぎて萌もへったくれもねぇ\(^o^)/




雪が降り、寒さもひとしおとなった十二月。
次屋三之助は悩んでいた。
長いこと仕舞いっぱなしのコートを引っ張り出して身に付け外出し、外の寒さにこれまた入れたままになっていた手袋を履こうと取り出したところ、毛糸が盛大にボロけていたのである。
このまま履いて歩くのははばかられる。
さりとてポケットに手を入れたまま歩いていて盛大に転んだ記憶があるのでそれもやりたくない。
さて、どうしたものか。

「次屋先輩!」

道端に突っ立っていた三之助の背後から、聞き覚えのある声が聞こえた。

「四郎兵衛か、なんだ?」

振り返った先にいたのは、一学年後輩の時友四郎兵衛だった。

「歩いたら、見かけたので、お一人ですか?」

真っ赤な顔で息を切らしながら駆け寄って来た四郎兵衛に、少し驚きつつ三之助が答える。

「ああ、ちょっと買い物」
「じゃ、じゃあ、一緒に行っても良いですか!?」
「へ? ああ、まあ良いけど…」

勢い込んで言われた言葉に気圧され、つい頷いてしまった。

「何を買いに行くんですか?」
「本と、あと…手袋」

なんかボロくなってた、と三之助は寒さで赤くなった手をさする。

「あ、じゃあ、こっち片方どうぞ」
「片方って、どうすんだよ」

四郎兵衛の右手から抜き取られ、差し出された手袋の片割れを見つめ、困惑する三之助に、取りあえずこっちに、と促され右手に手袋をつける。
空いた左手をどうするんだ、と尋ねる間もなく、四郎兵衛は事もなげに三之助の左手を掴み、自分のポケットに入れた。

「ね、暖かいでしょう」

いきなりなんだ、なんでポケットなんだ、手を握る意味って、等一瞬で脳内に駆け巡った疑問が、まるで春の陽気のようなふんわりした笑顔で吹き飛んでしまった。

本屋さんでしたよね、とにこにこと微笑んだまま歩き出した四郎兵衛につられて、どこか腑に落ちずそわそわとした気持ちで三之助も歩いていく。
変な感じだけど、何でか嫌じゃないなあ、と握られた手の暖かさを感じながらぼんやり考える三之助だった。


  暖かいのは、
  手と頬と、
  胸の奥




仲睦まじげに歩く様子を各々の同級生に目撃され、それぞれ質問責めにあうのはまた、別の話。







―――――

初時次。な、なんだこりゃ。
取りあえず萌えは込めました!

しろちゃんは三之助が一人で歩いてるのを見つけて慌てて追い掛けました。
迷いまくりそうだもん(笑)

自分の気持ちにも無自覚な三之助。
ラブラブになれる日は来るのか?
頑張れしろべ!(笑)

突貫作業の産物ですが、捧げます!

[次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!