創作 春眠暁を覚えず ――ああ、どうしたもんか……。 暖かな春の日差しを窓越しに背に受けながら、瀬野茅斗はひそりと息を吐いた。 ソファの端に腰掛け、揃えて折られた膝の上に人の頭が乗っている。もう三十分はこうしているのだ。 茅斗の膝の上に頭を乗せ三人掛けのソファから足をはみ出させて眠り込んでいる男。茅斗の同居人――正確には無理矢理転がり込んで来た居候――戸春蒼也。 ひと月ほどの出張に出掛けていたのだが、帰宅し着替えを終えたかと思うと、 「じゃ、お休み〜」 そして、今に至る。 元々やや奔放な所のある人物であり、大概の火の粉は茅斗に降り懸かっている。 ――落っことしてやろうかな。 いい加減足も痺れてるし、と茅斗は蒼也の顔を覗き込んだ。 仰向けでぴくりともせず、規則正しい呼吸をする顔は、いつもより青白く、疲れて見えた。 大概の事はそつなくこなす蒼也だが、慣れない地での仕事は堪えていたのだろう。 ――もう少し、こうしておいてやるか。 穏やかな寝息を立てる蒼也の頭をそっと撫でて、茅斗は一つ、今日何度目かの溜め息を吐いた。 あとがき→ 創作文の青とさよなら〜の二人の数年後、と いった感じです。 やっとフルネームが出せました(笑) まあなんやかんやあって現在同棲中です。いつか蒼也が転がり込んでくる所も書きたいなあ〜。 [*前へ][次へ#] [戻る] |