創作 美→凡SSS きっと今日も君は俺を見てはくれないんだろう。それでも。 初めての事だった。全く関心を持たれていない。こちらを見もしない。自分の世界には俺なんて存在しないのだ、と。 会話がしてみたかった。何が好きなのか、何が嫌いなのか、俺の事をどう思うのか。 長いこと近付けなくて見つめ続けて、気がついたらとても特別な人になっていた。 どうにかして近付いて、触れられるようになっても君は俺を真っ直ぐ見てはくれかった。 時々目があっても、視線には何の色も無い。 どれだけ囁いても、どれだけ触れても変わらない。 腕を伸ばしても、抱き締めて口付けても応えはない。 ただ、冷めた瞳で空を見ている。 それでも、求めることを止められはしない。差し伸べた手を握りかえされなくても、抱き締められる事がなくても。 この心に深く根差した感情に、逆らうことは出来ない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |