創作 美←凡SSS ただの気紛れだって、分かっている。それでも。 あの人はとても綺麗だから、周りに集まる人や物だって相応だ。 美しく素晴らしい物に囲まれた中で、たまたま隅っこにあったなんか変なものをちょっとだけ触ってみた。そんな感じだろう。 飽きたらおしまい。適当にポイと放る。 そんなもんだ。 差し伸べられる腕は、受け入れるだけ。掴まないし縋らない。こちらから伸ばす事も無い。 口付けもそれ以上だって、求めてはいけない。 まやかしなのだ。 柔らかい笑顔も、甘い言葉も、優しく頬に触れるあの形の良い指先の温もりだって、全部。そう遠くないうちに消えて無くなる。 それでも、きっと今日も拒めはしないだろう。自分から求めることはできないから、ただ受け入れる。 この身を蝕む、甘い甘い毒のような貴方を。 [*前へ][次へ#] [戻る] |