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novel
白いアリア(幹砂)
真っ白な

真っ白な


まるで、すべての闇を覆い尽くすような





「寒いー」


息を吐くと、白かった
すぐに空気に溶けて消えてしまったけれど


「ごめんね、さなちゃん。また水城の我が儘に付き合ってもらって」


杉野さんは申し訳なさそうに謝るけれど、父さんの仕事に付き合うのはもう慣れっこ


「杉野さんは謝らないでください。俺、気にしてませんから」


ひかる街

騒がしい店先

年明けが近い


「…もう、年が明けますね……」


ふと見た空は、白かった


「わぁ…雪だねさなちゃん」


雪……

真っ白くて

綺麗な

まるで、すべての闇を覆ってしまうくらいの





「…麻生さん?」


志度くんが出てきた
仕事だったのか


「…し「藤崎…」


………せめて言わせて


「また、こんなとこに……」


「え?」


志度くんが荒々しく舌打ちしたかと思うと、いきなり腕を掴まれた


「行くよ」


どこに?と聞く隙もないほど素早く歩き出した
杉野さんは心配そうに俺たちを見てたけど、志度くんに引っ張られて気にするどころじゃなかった

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