満たされる、満たされたい 『ゾロ』 「何だよ」 『名前呼んで』 「…アオ」 『…うん、それだけで満足』 故意にかしげていた首をもたげて私は肩に身をよせた。 その声で呼んでくれるだけで私の心は満たされる。特別好きだとかそういう言葉はいらない(言ってくれたらもちろん嬉しいけど) いつも思っていたことだったけど、どこか遠くを見ている彼の横顔を見ていたら何だか言っておきたくなったものだからつい言ってみた。 いつもこんなこと言ったりしない私にゾロは驚いたらしく、目をしばたかせている(してやったぜ) そしてしばらくしたあとこちらを向いて俺の名前も呼んでくれよと言ってくる ゾロ、と呼んだら急に顔を近付け、次の瞬間噛みつくようなキスをされた。 いきなり入り込んできた舌が暴れまわる熱い感覚に力が抜け、脳が酸素を求めて何が何だか分からなくなるころにようやく唇が離れたかと思うと、今度はついばむようなキスを何度もされた。 私の頬にあてているのと反対の手で優しく腰を引き寄せられ、自然と私も腕を添える。さっきとは対照的な柔らかいしぐさに愛しさを感じて、しばらくお互いを抱きしめあって、そのままゆっくりと離れるとなんだか急に恥ずかしくなって何も言えなくなってしまった にやりと笑って彼が言う 「俺はこれで満足だ」 キスの合間に愛の言葉を感じてくれ 「とりあえず今だけな」 「!?」 081030 090318加筆修正 次へ [戻る] |