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拍手御礼小説
幽霊男子 優等生君の場合A
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「まぁ、大人しくしててよ」

優等生君のその言葉と共に、俺は簡単に腕を頭の上で拘束された。
しかもベッドに繋げるその姿は余りにも慣れていて、再び嫌な予感がよぎった。


「っ、何するんだよ……」
「お仕置き、だよ」


仰向けになっている俺は優等生君に乗っかられて、和との関係性で心配してくれている友達という認識を変えた。
だってもう、全てにおいて慣れてるし。
優等生君、全然中身は真面目じゃなさそうだし。

というか、俺の普段の喋り方で何も言われない和は一体どんな容姿をしているのかふと気になった。

けれど、目の前で服を脱ぎ捨てる優等生君の姿にそんな疑問は消し飛んだ。


「ちょ、何してるんだよ」
「ん?だから、お仕置き」
「は?こんなの」
「和は、俺に何もしちゃ駄目だからね」
「え?」


いや、普段君たちが何してるのか分からないけども。
別に同性でヤりたいとか元々無いし、藤澤という俺にとっては多分お仕置きにはならない。


「全部されるがままだから。媚薬、まだ効いてるよね?」
「え、それは分からな、んぁっ」
「……うん、良い声」


おもむろに、優等生君の手が直接俺のモノに触れた。
それだけで、和の身体はビリッと電撃が走ったみたいで、気持ちの準備もしていなかった俺は甘い声を出した。


「お前、何して……」
「その様子だと追加しなくて良さそうだね」


ズボンを下げながら優等生君は嬉しそうに言うと、今度は何の躊躇いも無く俺のモノを口に含んだ。


「あ、ぁ……やめ……はな、して……」
「んっ……ふっ……」


鼻息が、かかる。
溢れる唾液が、咥えられてるそれに伝ってこぼれる。
触覚と聴覚、何よりも視覚への刺激が酷かった。

優等生君は綺麗な顔をしてるから。
そんな人が例え男でも、相手が藤澤という俺じゃなくて和という相手に対してだと分かっていても、顔を汚して奉仕しているこの光景。
元々同性同士に興味無くても多少なりとも訴えかけられる気がするのは俺の気のせいじゃないと思う。

媚薬を使ったと言っていた。
だからなのかな?
やけに頭がぼーっとして熱に浮かれたみたいで、目の前にいる優等生君がどうも誰かと姿が重なる。


「な、も……はな、して……イき、そ……」
「んーー、だめ……」
「いぁ、、もっ……」


音を立てて精液を吸われて、ジュルジュル音がするそれは卑猥過ぎた。
触っては駄目という制限が思った以上に俺を苦しめる。

触りたい。
優等生君の髪を触って、止めさせたい。
もしくはもっと奥まで…………って、そこで俺は思考を止めた。
何を考えてるんだ、俺は。

たぶんこれは、俺の思考じゃない。
この身体の持ち主の和の思考なんだ。

でも、それでも。
優等生君のその懸命な奉仕の姿に重なる君に触れたいと思うのは、和じゃなくて、俺の意志なのかもしれない。

前までこんな事無かったのに。
見れるだけで満足だったのに。
いつの間にか、こんな思考をもつなんて。


「なぁ……触り、たい………」
「だから……だめ、ってば」
「本当に?お前に、触っても、だめ?」
「………和?」


名前が分からないんだ優等生君。
ごめんね。
何に驚いたのか、優等生君はようやく俺のモノから口を放して俺を見上げた。
口の周りには俺の先走りと優等生君の唾液でベタベタに汚れてる。

あぁ、この気持ち……征服欲って言うのかもしれない。


「触らせてよ……」
「和?」


和じゃない。
俺は、藤澤だ。
身体は和かもしれない。
けど、今優等生君に触りたいと思うこの意志は、やっぱり和じゃなくて俺自身のものだ。


「ごめんね」


その言葉は今から触れる優等生君にではなくて。
身体を貸してくれている、和に対してのもの。
身体借りてるのに、君の恋人に勝手な事をすることに対して。

元々俺、たぶん、ガラは良い方じゃなかったと思う。
優等生君みたいに、優等生じゃなかったと思う。
和の方は、知らないけど。

触りたいという欲と、征服したいという欲。
どっちも絡んで俺の中でドロドロになっていく。
優等生ではなかった俺だけど、そんな感情今まで知らなかった。
幽霊になんてならなかったら、こんな感情も手段も知らなかったんだ。


「ごめん」
「か、和?んぐっ!!」


反射的に、足が出てた。
優等生君の背中に足を回して、自分の方へ引き寄せて、強引に深くまで俺のモノを咥えさせた。


「んぐ、ふっ、んんんっ」
「ぁ、ん……良いな……それ」


媚薬によって高められた身体は男同士のこの行為に違和感を持つ事を封じてくれてる。
喉に先端が当たる。
この事に関しては淡白だったはずなのに、今温かい口内に咥えられている感覚が酷く気持ちよかった。


「んん、か、ずっ…んん」
「ね、イきそう………出して良い?」
「んんんんっ」


頷いたのか首を振って拒絶したのか。
背中に足をかけて後ろに退く隙間が無いからか、俺には優等生君が何て返事をしたのか分からなかった。

けど、その振動さえも張り詰めていたそれを弾けさせる引き金には充分だった。

今こうして、俺に対して必死に頑張ってくれてる優等生君の姿はやっぱり良いな。



「……好きだよ」
「っ……」


俺の告白と俺が優等生君の口の中に射精したのと同時に、布越しに伝わった感触。
あぁ、優等生君、イっちゃったのかな?

でも、本当、ごめんなさい。


ふっと抜ける意識の中、俺が出した精液を飲み込めずに苦しそうにしている優等生君の姿が妙に視界から離れなかった。


ーーーー


「……何してんの?藤澤くん」

目を開けると、そこには俺を氷のように冷たく見下ろす死神君の姿。
元々可愛いからか、迫力には多少欠けるけれど、それは言ったら怒られそうなので止める。


「えっの、その……」
「ただのウブな青年かと思ってたら騙された」

いや、本当に。
男同士の色々は、本当に詳しくなくて。
何も騙してないし、変わってないんだけど。


「…………何も、言えないです」


けれどそんな反論出来る度胸もなく、憑依から戻って来て幽霊に戻った俺は、可愛い死神君から延々とお叱りを受けた。

本当、何があったんだろう。
媚薬の力って、凄いね……。


Continue.?

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