拍手御礼小説
幽霊男子 強面男子の場合A
当たり前だけど、やり方なんて全然分からない。
AVとか見てたらまた違ったのかもしれないけど、残念な事に自分の身体を持っていた頃の俺はとても淡白だった。
そんな知識の無い俺が出来る事と言えば、我慢をして必死になるだけだ。
「っ、ぐっ……ふっ」
同じ男の身体だからツボが分かるだろと思ってもみたけど、それは直に手で触る時であって口ではしない。
まして人のだし。
その時点で抵抗がある。
だから俺は思考を真っ白にして、精一杯口に頬張って、頭を上下に動かした。
時折動かし過ぎて喉奥に突っ込んでしまい苦しくなるけど、噛むなと言われたしその痛さも想像したらとても辛いと分かるので苦しさにも頑張って耐える。
それに疲れたら今度は舌を動かしてペロペロと美味しくない人のそれを舐める。
こいつは俺のこんな下手なフェラで気持ち良くなっているのかと不安になり、そっと上目使いで強面男子を見上げた。
「っ、馬鹿見んな」
「ぐっ」
目が合ってすぐに強面男子に頭を掴まれ、思い切り口に突っ込まされて、本当に突き破られるかと思った。
最悪、加減しろよ馬鹿。
「なんか、今日のお前いつもと違って、何か新鮮……」
「っ、ん、ぐっ……」
さっきまで俺が必死にしていた事を、今度は強引に頭を掴まれたまま頭を上下に動かされながら強制的にされる。
口内を蹂躙されて物みたいに扱われて苦しくて、けど強面男子のそれは段々大きくなるし苦い味が口の中に広がるし、
何か知らないけど俺の静まっていたモノもムクッとまた大きくなってきた。
中野の身体が一体どこに気持ち良さを得たのか、俺にはさっぱり分からない。
「……っ、出すぞ」
「!!」
流石に口の中に出されたくは無いと、それを口から離そうとした。
けど同時に強面に首裏を掴まれて、結局顔射と口の中に出されるのと半々になってしまった。
「……うぇ、入った……」
「っ」
舌に残ってる強面男子の精液をベーッと相手に見せながら、それを床に吐き出す事も出来ずに俺は渋々不味い他人の精液を飲み込んだ。
自分のも嫌なのに、何で初対面の奴のを飲まないといけないんだよ。
ついでに俺は顔にかかったそれも手の甲で拭いながら強面男子を睨み付けた。
いくら中野がお前を好きでも、精液を飲ますのは可哀想だろ。
酷いな、こいつ。
「……その顔で見られても誘ってるだけだぜ、中野」
「は!?」
「早く脱げよ。下着の中気持ち悪いだろ?」
それは確かに気持ち悪いけど、誘ってるとか言われた意味が分からない。
むしろ、俺としては誘われたのを渋々了承したわけで……。
中野の好みに俺は不安になる。
こいつら大丈夫かな。
上手くやっていけてるのか?
「…………脱いだよ」
「またあれから零した?」
「……違う」
「ふぅん。お前は一回でそんなに出すのかよ」
正直言うと、強面男子のをフェラしてる時から何か俺のも一緒に疼いてたから、多分原因はそれだと思う……。
となると、中野の好みも心配だけど、俺は君の身体も心配ですよ。
「まぁ良いわ。ほら、尻出せ」
「…………ん?」
クルッと回されて押し倒されて、俺は尻を高く上げて四つん這いという今までの人生の中で一番恥ずかしい格好をされる。
ちょっと待って。
最初にセックスするとか言ってたけど、本当に男同士ですんの?
どうやって?
しかも、俺、女役?
嘘だろ?
「あ、ちょ、待て」
「もう慣らさねぇからな。どうせ平気だろ」
いやいや俺の心が平気じゃないから。
慣らさずに尻にあれが入るって普段から中野くんどれだけ入れてるの?
大丈夫なの?
「あ、ちょ、やだ、本当に、待てって」
「あーはいはい。そういうの要らないから」
焦らしてんじゃねぇよ!
強面男子は俺の本心もお構いなく、何か冷たい液体を尻に垂らす。
その冷たさにビクッと俺は身体を揺らした。
「一本だけな」
「え?あ……ぁ、っ、ん、ひっ、はっ」
「力抜けよ。処女じゃねぇんだから」
「はっ、あ、無理ぃ……」
指一本をアナルに挿入されて異物感に苦しくなる。
けど、痛さは無くて、それが逆に怖かった。
「無理って……平気で飲み込んでる癖に」
「ぁ、はふ……ひっ」
クスクス笑いながら指の出し入れをされてその振動さえもナカに伝って来て、疼いた。
俺が思っている以外にこの身体は指をすんなりと飲み込んで、まだ大丈夫だから奥まで入れろと無意識に腰が揺れた。
それはもう俺の意志ではなく、中野のこの身体の記憶。
「ほら、お前が一本で足りる訳無いんだよ」
「ひぁっ」
グポッと音がして、指が抜き取られた。
ヒュウと風が入って来てナカをくすぐった。
本当に、入るのかよ、この身体……。
「あ、んっ……」
息を吐きながら整えて、俺はもう容量オーバーなこの行為の続きを待つ。
さっきは指一本だった。
けど、なんか気持ちよかった。
でも、なんか足りなかった。
次は、ちゃんとこの身体が満足出来るのをくれるのかな?
「……中野、こっち向け」
「え……」
グルンと身体を回されて強面男子と対面する事になった。
「いつものお前は淫乱って感じで好きだけど、今日のお前は初めてみたいで興奮する」
「っ、うるさい」
「ふっ、マジで別人みてぇ」
「だって!」
「はいはいそんなお前も好きだよ」
「っ」
好きという単語に、俺の……中野の身体がドクンと熱くなった。
心臓が、跳ねた。
俺が好きな奴とは違うのに、好きな奴に抱かれてるような錯覚になった。
「力、抜けよ?」
「あ……や、見るな……」
急に恥ずかしくなった。
中野の好きな奴だからって半ば他人事のようにしてたけど、まるで自分が本当に強面を好きになったような錯覚がして。
それが羞恥心を俺に覚えさせる。
やめろ、見るな。
こんな俺を見るな。
男なのに男に女みたいに扱われて気持ち良くなってる俺なんて、見るな。
「顔隠すなよ。赤面してるお前とか珍しくてマジ可愛いから」
「っ!!」
「……挿れるぞ、中野」
「あ、や……だめ……はっ、んぁぁぁ」
指とは違う質量。内部の圧迫感。
さっき自分が口に含んでいたそれが、今度は後ろに入っているのかという驚き。
込み上げてくる羞恥心。
好きなのは中野であって俺じゃないはずなのに。
恥ずかしくて恥ずかしくて、嬉しくて。
嫌になる。
「ほら、力抜けよ。初めてじゃねぇんだから」
「んんっ、無理……」
首を横に振って訴える。
力を抜くとか出来るわけがない。
苦しくて余裕なんか無くて、どうすれば良いのか分からない。
「……しゃあねぇな」
「っ、ぁ……んぅっ」
塞がれた唇。
舌が唇をなぞり、それにつられて口が薄く開く。
それを狙ったように舌が侵入してきて俺の舌に絡んでくる。
厚い舌に好き勝手にされて、どうすれば良いか分からなくて、ただ俺は任せるだけ。
自然と力が抜けた。
「ん、ふっ……んんんっっ」
待ってましたとばかりに、強面男子が更に俺のナカへ更に押し入って来た。
あれで最後じゃなかったのかと思いながらも、ただひたすら俺は力を抜くことに専念する。
だってもう、限界だ。
心の許容量オーバーだ。
「ふっ……んっ……んぅっ」
背中をバンバン叩くけど侵入は止まらないし、咥内を犯されるのも止まらない。
対処が分からない。
でも、なんか分からないけど、この苦しさも悪くない。
好きな人にされるのって、こういう気持ち良さなのか?
「可愛いな、中野。どうした?」
「ふぁ……はっ、あぁっ……」
何が?どういう意味?
質問の意味も理解出来てない俺は当然それに答えることは出来ない。
疑問を口にすることも出来ない。
ただもう、奥を突くそれが苦しくて口を開いて声を出すだけ。
初めてなのに、身体だけさっさと気持ち良くなって心は置いてけぼり。
けど、俺の髪を触りながら微笑んでいる強面になぜか苦しくなる。
「ぁ、はっ……ど、しよ……」
「ん?何が?」
男とするのも初めてで、まして女みたいにナカに入れられたのにこんなに気持ちよくなってる。
嬉しくなってる。
「……気持ち、いぃ…」
「なにお前可愛い事言ってんだよ」
「ひぁっっ」
グリッとこれ以上入らないと思っていたそれが侵入してきて圧迫感が増した。
「なぁ、好きって言えよ」
「んっ、ふっ……んぁ」
「俺が好きって言え、中野……」
切実に聞こえたその願いが、勝手に俺の中で変換された。
藤澤って呼ばれたような気がした。
だから、俺はその一瞬強面がアイツに見えて……。
「……お前が、好きだ……」
身体を繋げてるその相手に告白をした。
ーーーーー
「ふっじさっわ君ー」
「!!!」
忘れかけていた本名をふざけたように言われ、急激に現実に戻された感覚に陥った。
「起きたー?」
「…………死神くん?」
「うん、お帰り藤澤くん」
俺を見下ろす鎌を持つ可愛らしい死神君。
あぁ、そうだ。俺は藤澤だ。
忘れる所だった。
「可哀想に藤澤君。好きな人と出来なかったんだね」
「……え、え?何を?」
唐突な質問に回転していない思考は働かない。
「ん?ヤッたんでしょ?」
「…………何で、知ってんだ」
聞かれた単語に急激に考えが回り、俺はそれだけを尋ねる。
そして犯人を見るような目で、俺は可愛らしい死神君を睨んだ。
「え、そりゃ……お見通しだからね!」
「……」
恥ずかしくて穴があったら入りたいとは正にこの事だと思った。
「ねぇねぇ、初めてアナに入れられた気分はどう?」
「っ!!!うっさい!!」
思考を読んだように言うんじゃねぇ!
ついでに上手い事言うな!ムカつく!
とりあえず、俺はまだ自分の身体に戻れないらしい。
Continue…?
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