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◆SS
□5月23日


例のごとく、上村は友人宅でお酒を飲んでいた。


「なぁ上村。飲む時何で毎回俺の部屋?」
「俺がお前を部屋に招き入れたくないから」
「酷いなそれ」
「絶対入れたくない」


ハッキリと断言すると目に見えてハッキリと友人はショックを受けており、肩をおろしていた。
こればっかりは仕方ない。
自分の領域に誰かを入れたくないし、何より友人は後片付けをしないから。


「一回くらい部屋に入れてくれても良くないか?何年の付き合いだよ」
「どっからカウントして?」
「そういう事じゃねぇよ」
「あーはいはい」


正式に付き合ってからか、それともただの同僚としての期間も入れるべきかと問えば友人は怒る。
別に茶化したつもりはない。

今日は何だか不機嫌らしい。


「お前さ、何か怒ってる?」
「別に」
「怒ってるだろ、絶対」
「怒ってねぇよ」
「なら脱げ」
「はぁ?意味分からん」
「やっぱ怒ってるだろ。何で?」
「ちょっ」


何だかいつも以上に反抗する友人押し倒して聞いてみた。
何かした記憶が無いのにこういう態度を取られるのは腹が立つ。


「機嫌直せよ、義隆」
「っ」


まるで子供をあやすかのように、上村は友人の額に口付けをした。
そうして頬にも唇を落としていき、首筋を伝う。


「っあ……上村っ」


首筋を舌で舐めながら、その間に友人の服を強引に脱がす。
そしたらまた、上村は徐々に下へと口付けを落としていく。


「や、め……」
「まぁまぁ」


暴れる友人を縫い止めながら、胸の突起も口で包みながらカリッと歯をあてる。
舌で転がしてたっぷりと唾液を絡ませる。


「あ、んっ……それ、や……」


チュプ、と水音が聞こえる。
それでも構わず上村は片方だけの突起を愛撫する。
残された片方には手でも触れる事はしなかった。


「っん、上村、どっちも……」


頭上で聞こえたおねだりの言葉を合図に、上村は胸の突起から離れてへその方へと降りる。


「下、脱げよ」
「……」


上村は友人の顔も見ることなく指示をする。
その指示に大人しく従うと分かっていたから。

案の定、友人はモゾモゾとズボンを脱いでいく。
その間も上村は大人しく待ったりせずに、早々に現れた下着を押し上げるそれを優しく食んだ。


「んぁ、だ、め……」
「言う暇あったらさっさと全部脱げよ」
「っ」


上村の催促に友人は下着も全て脱いで下半身を晒した。
1人だけ全裸の格好を晒す事が恥ずかしいのか、反り勃っているモノを見られるのが恥ずかしいのか顔を赤く染める。


「……直接触ってないのにもう濡らしてんのかよ」
「だって、それは、あ、んぁっ」


上村が、その先端から濡らしているそれを温かい口の中に含んだ。


「あ、やめ、て……上村ぁ……はっ」


髪を掴みながら悶える。
それを無視して、上村はそこへひたすら刺激を与える。
温かい口内で包み、舌で舐めて、たまに尿道へ捻り入れる。
何度も何度も吸って舐めて、唾液なのか零している精液なのか分からないくらいベトベトに濡らす。


「あっ、っん……やっ……イっちゃ、う…から……離して、うえむらぁぁ……」
「……」
「ぁ、はっ、だ、めぇ……」


限界を訴える声が聞こえて、上村はようやく今度は手で上下に扱き出した。
口のみでの愛撫でも限界だった友人は手により激しい刺激に耐えられない。


「ぁ、あ……だめ、やっ、あぁ、も……イッちゃ……」
「イけば?」
「んんっ、あ、ふっ、んんんん」


ジュル、グチュ、
高い声を上げて、背をしならせる友人の下で、上村は達して勢い良く白濁を出すモノから口を離さずに音を立てながら嚥下した。


「うぇ、まず」
「っーーー!」


口を拭いながら悪態をもらし、けれどこぼすことはなく。
その証拠にと、ペッと舌を見せながら上村は笑う。
それを見て友人は顔を赤くして、上村の頭を叩いた。


「飲むな馬鹿野郎!」
「お前はいつも飲んでんだろ」
「っ!!俺は良いけど、お前は駄目なんだよ」
「で、俺の貴重なフェラの感想は?義隆くん?」


ツーっと、達したばかりの友人のモノを指先で触れながら尋ねると顔を逸らされた。


「おいこら、感想言えよ」
「言わなくても分かるだろ。てか、何で今日そんな甘やかすんだよ」
「甘やかす?どこが?」
「…フェラとか、なんか色々。お前、そういうの滅多にしないだろ」


恥ずかしそうに呟く友人を、上村は何を言ってるんだという目で凝視する。


「俺、甘やかしたつもりねぇよ?」
「え、だって何か優しいだろ」
「今日はキスの日らしいから、俺の技術でお前をどれだけイカせられるかなと思って」 
「え?」


そう、だから甘やかしているつもりは上村には一切無い。
あくまでも、自分がどれだけ技術があるのかという確認の為だ。
実験みたいなものだ。


「え、でも……は?」
「だから義隆、今日は挿れないから。ひたすらお前が何回イケるか遊ぶから」
「はぁ?」
「何か機嫌悪そうだったからな。それなら俺の技術の問題以前の問題だからさ。まずはお前の機嫌を直さないとな」


気分が乗らないからイケなかったとか言われたら嫌だから。
だから珍しく上村はフェラまでしたし、手も使った。
けれど、ここからは使わない。

何と言ったって、キスの日だから。
使うのは、口だけ。
それで、相手がどれだけ喜ぶのか。


「………え、やだ。そんなの本気で嫌」
「まぁまぁ義隆くん。別にお前に奉仕は頼んでねぇし?大人しくしてたら良いから」
「ちょ、待て。手を結ぶな、上村」
「まぁまぁ義隆くん。一年に一回の大サービスだと思って」
「挿れてもくれないのにひたすらなんて、有り得ないだろ!」
「お前が感じなかったら良いんじゃね?」
「っ、それは、無理」
「お前、俺の事好きだもんなー」
「っ、んぁ!」


そして始まった、義隆の耐久勝負。

5月23日はキスの日とは言え、甘く優しくキスを与えるつもりは一切ない上村だった。


Fin.

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