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◆SS
■5月6日


「では、かんぱーい」
「明日からお互いがんばりましょう」

中年男性2人、GW明けの明日からの仕事を思えば憂鬱になる。
しかし、それを乗り越える為にと今日は友人の部屋に集まって宅飲みをすることにした。


「おい義隆、つまみ足んねぇよ」
「お前が酒しか買って来なかったからだろ」
「なら作れ、今から」
「は?嫌に決まってるだろ」
「ったく、自己中だな」
「お前に言われたくねぇよ」


義隆と呼ばれた友人は不服そうに何やらブツブツ言いながら缶ビール片手につまみに手を伸ばす。
悪酔いしないと良いな、と不安からではなく面倒を見るのが必然的に自分になるというのが嫌な上村は友人宅に置いている自分のお酒であるウイスキーに手を伸ばした。

この状態から分かると思うけれど、お酒の強さで言うと上村の方が上である。
そしてまた必然的に、先に酔うのは義隆の方になる。



「お前さー、もっとさー、俺に優しくしろよー。お前は、俺に、冷た過ぎるー」
「あー、はいはい」
「聞いてんのかーー?」
「聞いてる聞いてる」
「いつもいつも、俺で遊びやがってさーー。俺だって、たまには、お前を犯したい!!」
「そうですね、出来たら良いですね」


一生無理だろうし面倒くさいな、と思いながら中途半端に達の悪い友人の絡み酒の相手をする。


「おじさん、酒臭いから抱き付かないでくれるかな。離れてくんねぇかな」
「んあ?お前だって、おじさんだろー」
「いいから、義隆離れろ」
「っ」


背後から首に腕を絡ませてくる友人に言い放つと、酔いながらも何かを感じ取ったのか腕を離した。
ただ抱きつくだけでなく、全体重をかけてくるから重いのだ。


「ったく、お前どれだけ飲んだ?たかが3、4本だろ?もう止めとけよ」
「まだ、飲めるもん……」
「おじさんもう語尾おかしいから止めとけよ、マジで」


そして上村は友人が再度手にした缶ビールを取り上げる。
これ以上飲まれたら本当に面倒くさいことになる。
それは経験から熟知していた。


「なぁ、上村……」
「あ?」


お酒による熱い吐息を首筋にかけながら、友人はまたもや首に腕を絡ませながら抱き付いてくる。


「今日は、してくんないのか?」
「酔ってる奴相手にしても面白くない」
「俺、酔ってない……」
「はいはい、またな」
「……上村のー、馬鹿野郎!」
「痛っ!」


頭が床に叩き付けられて、その衝撃に上村は頭を押さえて唸る。
こいつ、手加減なさ過ぎてムカつく。
上村が目を開けると、そこには上村の身体を跨がっている友人の姿。

 
「てめぇな!って……おいおい、お前目据わってんぞ」


もはや目の据わっている友人を見てうんざりとする。


「今日はー、何の日かー、知ってるか?」
「さぁ?GW最終日で6日だろ」
「ブブーー不正解!」
「……そうっすか」
「噂で、ゴムの日、っての、聞いた」
「ゴム?」


思い浮かんだのは、物を留めるのに使う、輪ゴム。
なに?これを機に買い足そうって?


「ちがーう。お前が、毎回、俺に使わないやつ!!」
「あぁ、そっち」


やっぱするなら生が良いと、俺が毎回使わないのはコンドームという名称のゴム。
ただ分かったところで、それがどうしたという考えは変わらない。


「俺、用意したからさ……」
「だから?」
「ヤろ?」


おもむろに友人はゴムを取り出し、服を脱ぐのに邪魔だからか口に咥えながら首を傾げて誘ってきた。
なんとまぁ、珍しい光景か。


「……ケータイ取って、俺の」
「ん?ん」


友人にケータイを取ってもらい、カメラを起動させる。
この様子は記録しておかないと勿体無い。
動画モードにして、カメラを構えた。


「お前、そんなにヤリたいの?」
「うん、したい」
「1人でしとけよ」
「やだ、上村とが良い」


首を横に振りながら友人は上のシャツを脱いだ。
その様子ももちろん、動画には収められている。
けれど、そこまで頭が回らないのか、友人はカメラ目線で上村との会話を続ける。


「さっき俺のこと犯したいって言ってたけど?」
「…言った」
「それなら俺、お前とはしねぇよ?」
「やだ」
「ならどうすんの?」
「ずっと俺のこと犯して良いから、して?」
「そのゴムを使って?」
「うん」
「でも俺、お前のナカに出してぇな」
「……」
「お前も出されたいだろ?」
「……うん」
「ゴム使ったら気持ちよさ半減するけど?」
「やだ」


カメラを持ったまま、嫌だと首を振った友人を上村は静かに押し倒した。
これで体制の形勢逆転だ。
頬を紅潮させた友人が上村を見上げる。


「なら、どうして欲しい?ちゃんと言ったらその通りにしてやるよ、淫乱」
「ん……ゴム、使わなくて良いから……たくさん中出しして良いから、淫乱な俺のこと、たくさん、犯して……」
「よく言えました」


ピッ、とそこで上村は録画停止ボタンを押した。


「いつもそれくらい素直だと好きだな」
「俺は、いつもお前のこと、好きだ…」
「知ってるよ」


そんなのこういう関係になるずっと前から。
上村はまず、卑猥にゴムを咥えていたその口を乱暴に犯すことにした。

Fin.

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あきゅろす。
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