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◆SS
■君との関係


君にたった一言、"好き"と伝えたら。
そうすることが出来たら、俺と君の関係は何か変わるのか?

進展せず後退するだけならば、
ならばいっそ、伝えないままでいた方が良い。

気兼ねなく話せる友達のまま、傍にいる。
そうすれば、嫌悪されずに俺は君のそばにいれるだろ?

ーーーーー


「なぁ聞いてよ。本当に俺、あいつ嫌いでさー」

悩みとか愚痴とか何でも話してくれるけど、意見を求められたりはしない。
いつも俺はただ黙って聞いているだけだ。
それだけで満足して、君は嬉しそうに笑う。
話を聞くだけでも君を楽にすることが出来たのだと思うと嬉しくて、俺は毎日のように飽きもせずに話を聞く。

このままで良い。
この関係を変えようとは思わない。
何も伝える必要はない。
伝えたいなんて、俺にとっては高望みだ。
今のままで、充分なんだ。


「いつもごめんな。でも俺、やっぱお前に話すのが一番楽なんだ」


そのたった一言で俺は天にも昇る気持ちになって幸せで、むしろ感謝をしたくなる。
俺を選んでくれてありがとう。


「じゃあな、アキ」


手を振って明るく走って行くその後ろ姿を俺は静かに見守る。

好きで好きで大好きだ。
でも、この関係は変えなくて良い。

会って話してくれて微笑みかけてくれる。
これ以上、俺が君に求めることなんて何も無い。

どうせ俺の方が君よりも早く死ぬ。
そんなのはよくわかってる。

だから、たった一言好きと伝えてこの関係を壊すよりも、俺は何も伝えずに死ぬその瞬間まで君の傍に居ることが出来たらそれで良い。
それだけで十分だから……。

だから、いつも君は俺に微笑みかけて話しかけてくれ。
どんな話だって笑いながら聞くから。

大好きだよ、本当に。


「アキ、ただいま!!良い子にしてたか?散歩に行こ!!」


大好きな大好きな俺の主人。
良い子にして君の帰りを待ってるから、いつまでも俺を君の一番にして。


Fin.

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