◆Short Novels
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「あ、はっ、、ふっ」
肩で大きく息をしながら、佐藤は呼吸を整える。
異物感、なんてものはなくて、ただ腹部を内側から圧迫させられて少し苦しいだけだ。
無理に拡げられている痛みとか、そんなものは全て佐藤の中で快感へと変換させられる。
なんて幸せな身体なのだろう。
「っ、……はっ」
小さいけど漏れる乱れた濱本の息づかいが佐藤の耳元に落とされる。
それだけで佐藤の背筋にはゾクゾクと電撃が走って、膝から力が抜けていく。
それを濱本が上に引っ張って無意識にでも支えてくれる。
その一連の流れすら、嬉しくて佐藤は頭を扉に押し付けて与えられる全ての快楽に耐える。
「あっ…………んっ……はまもと…………」
力が抜けるたび、自分の体重で身体が下がって濱本に寄り掛かる。
そうしてまた、濱本のモノを奥深くまで挿入されて体を震わせる。
「おく……好き、きもちい……」
「あー、うるさい……」
「っん!」
グリッと自分の体重じゃなくて後ろから濱本の意志で突き上げられて、ドンと扉が大きく音を立てて揺れた。
「言われると、ムカつくんだよね……」
「ん、待って、濱本っ」
「だから……うるさい」
「ひぁっ!……あっ……んっ……ふっ!」
ドン、ドン、と扉が揺れる。
その音のリズムと同じように、濱本に奥へ奥へと突き上げられて、佐藤のナカが刺激される。
突き上げる為に腰に添えられた濱本の手が、太股の内側を撫でる。
たったそれだけでも佐藤は過剰に反応してしまい、背筋にゾクっと電撃を走らせる。
支えられなくなった佐藤の片手は扉のノブへと自然に手をかけた。
ガチャ、ガチャと音が響いて、恐らくたまたま外を通りかかった人がこの音を聞いたら不審に思われてしまうのではないかと妙に冷静に佐藤は自分を客観視した。
「……外が気になる?」
「え」
心を読まれたかのような濱本の言葉のタイミングに、佐藤は咄嗟に振り返り、濱本と至近距離で顔を合わせる。
「このまま扉開けて青姦する方がお前の好み?」
「いや、ちが」
「お前は変態だからな、それが好みかもね」
濱本の手が、ノブに添えていた佐藤の手と重なる。
佐藤の瞳が大きくなり、揺らいだ。
もしかして、という考えと、さすがにそんな事はしないだろうという考えがせめぎあう。
「この時間ならまだ人は外歩いてるかな」
「はま、もと?」
「全裸で、後ろから男に犯されてるところを他人から見られるのか」
「っ、嘘だよね?」
濱本の手によって、回す様式のノブがゆっくりと、右へと動く。
佐藤は濱本の視線から逃げて、再び扉へ目線を向ける。
手は濱本の上に重ね合わせて動くノブを止めようとするが力が入らない。
「露出狂どころじゃないよね、変態よりも、更に酷い」
「っ」
扉の向こうに行き交う人の姿が見える。
扉を開けた瞬間、その人が佐藤の姿を恐ろしく怯えた様子で凝視する。
瞳孔は開いて、信じられないものを見たかというように表情が険しくなる。
「あ、や……」
「でもお前は変態だから、他人にそんな様子を見られても嬉しいかもね。なら、別に見られても平気だよね」
ふいに、止まっていた腰がグイッと佐藤の身体と更に密着し、濱本のモノも同時に奥深くへと突き付けられた。
「ひぁっっ」
全身から力が抜けて、かろうじてノブにかけられていた濱本の手を止めていた手も、だらんと離れる。
ガチャっとドアノブは回されて、突き付けられて前へと揺れた身体が更に前へと倒れかける。
扉に頭がつき、扉が開いた僅かな隙間からは太陽の光がもれる。
夕方で下校途中の学生と住民達の声が一気に聴覚へと流れ込む。
「ほら、見せてあげなよ」
「あ、やあぁぁっっ」
もう一度深く奥へと濱本のモノが身体のなかを突き刺して、衝撃でガクン、と佐藤の上半身がお辞儀するかのように倒れた。
家の前にいる人がいるかを確認する前に佐藤の視界に飛び込んできたのはタイル張りの通路と、それに似合わない白濁とした自分の精液。
「……あーあ、イッちゃったね」
耳許で囁かれた濱本の声と、自分には眩しすぎる外の世界にクラッと目眩がして。
そこで佐藤の意識が飛んだ。
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