◆Short Novels 3 . 「…っあ……は、ん…」 「ねぇ桜野……本当に初めて?」 「っせぇ…っん…ぁ…」 桜野は真崎に抱き付き、後ろから来る感覚に声をあげる。 本当は抱き付くのも嫌だが、そうでもしていないとこの慣れない感覚に耐える術が今の桜野は持ち合わせていなかった。 「もう……グチョグチョだよ?すっかり解れてきた」 「!!」 耳元で囁かれた羞恥心を煽るその言葉と共に、自分のナカに入っているその指によって産み出される音が聞こえてきて、堪らず桜野は顔を赤くした。 「照れた?……可愛いね、桜野」 「……てめぇ、黙れよ……」 普段とは性格が違う気がする真崎を、思い切り睨んでやりたい。 けれど生憎そんな余裕は桜野に無く、眉間に皺を寄せる事しかできなかった。 「なんで?……凄く可愛いのに……」 「っあ!」 クイッと中の指が曲げられて、桜野は真崎の肩を掴む手に力を込めた。 「……可愛いな」 真崎は初めての桜野のナカを丁寧過ぎるくらいにじっくりと解す。 「は、ん…やぁ……」 なんか、本気でヤバい気がする。 膝で止まっているズボンを邪魔に感じる。 一度ナカに指を入れる為にと、半ば強引に達したモノに熱がまた集まり出しているのが分かる。 「っ……真、崎……」 その時初めて、桜野は真崎を呼んだ。 「なあに?」 「……もう、いいから……」 「いいから、なに?」 絶対、真崎は桜野が何を言いたいのか分かっている筈だ。 けれど聞き返して言わせようとする。 どうやら思った以上に真崎の性格は悪いらしい。 でも、桜野はその性格の悪さが分かっていても相手の思う通りに動かなければならなかった。 全てが初めての桜野にとって、未知であるナカへの快感と知っている射精による解放の快感を長く我慢する事なんて出来ない。 「……もう、ヤバいから……。指、抜け……」 「なんで?……指…気持ち良くない?」 「っ、馬鹿……そうじゃねぇ…」 下腹部に集まっている熱は、解放を求めている。 早く出したい、楽になりたい。 真崎がわざと立てている水音が桜野の鼓膜を犯す。 未知の快感が熱を煽った。 理性のネジを少しずつ溶かす。 「……桜野、言ってくれないと、俺……分からないよ?」 この野郎、よくもそんな事言えるな。 耳元で真崎が囁き、桜野は指からもたらされる襲ってくる波に耐えながら、決心をした。 堪えたところで長引くだけなら、言ってしまった方が楽だ。 「指で、イクのは、嫌だ。……だから、さっさと、入れろよ」 しがみついていた手をゆっくりと下に降ろしていく。 真崎のズボンのベルトでその手は止まり、桜野以上に存在を主張している中心を服の上から撫でる。 「っ、桜野……」 そのようやく聞けた真崎の焦った声に、桜野は嬉しそうに笑う。 けれど、それでも真崎は主張しているそれを出すことはなく桜野への動きを止めなかった。 桜野を抱かせてくれと言ったくせに、真崎は必要以上に指でナカを解してくる。 最初は異物感で真崎を責めていた桜野が、その指だけで達する事が可能になったほどに。 普通の学生は、そこまで我慢が出来るのだろうか。 初めての桜野が、中に指が三本入るまでに解れるまでずっと我慢をする事が、出来るだろうか。 「…ん……は…真、崎……ぁ、や…んぅ…」 たまに前立腺を掠めて、内壁を三本の指でバラバラに抉り、桜野から甘い声を引き出す。 「……限界のくせに、余裕ぶってんじゃ、ねぇよ……。俺のナカに、入れたく、ねぇのかよ」 煮え切らない真崎の行動に苛々した桜野が発したその言葉に反応したのか、真崎はナカに入れていた指を引き抜いた。 「入れたいに決まってる……」 「それなら、なんで、っんあぁぁ!!」 桜野は声をあげ、肩を震わした。 同時に、今まで入っていたものが無くなり中がヒクヒクと動いたように感じた。 っ、最悪な体だな、おい。 自分の順応性に桜野は毒づく。 一方真崎は思い詰めた顔をして、桜野の膝で止まっていたズボンを下着もろとも引き抜いた。 「……傷付けたく、ないんだ…」 さっきまで羞恥心を抱かせるような事を言わせておいてよく言う、と思いながら、桜野は真崎の額を指で弾いた。 「お前、馬鹿だろ。傷付いたりしねぇよ。てめぇが無駄に中を弄ったんだからよ」 真崎の手を取り、桜野は己の後孔に触れさせる。 「ほらな?大丈夫だから、さっさと入れろよ」 「……桜野って、人を煽るの上手だね」 「は?…っ、あ、あぁぁっ」 意味が分からないと言う間も無く、指とは比べ物にならない程熱く、大きいものが桜野の中を裂いた。 「桜野、声……大きいよ?……バレても、良いの?」 体を貫かれた痛みと衝撃に声をあげた桜野に、真崎は耳元で囁く。 その声が心配から来ているものでない事くらい、よく分かる。 密かに声色に出ている楽しそうな声。 本当に腹が立つ。 「っ」 バレても構わないから素顔を晒しているが、とは言え、好んで見られたい訳ではない。 あくまで晒しているのは、見られた場合に備えての最終手段でしかない。 桜野は自分の口を押さえて、外に聞こえないように声を抑える。 「俺は……別に良いんだけどね……」 そんな桜野を真崎は面白そうに見る。 「性格…悪いな……てめぇ」 先程と同じ真崎の意地が悪い声に、桜野は文句を言う。 普段はこんな性格には見えなかったのに。 もしかしたら人選ミスをしたかもしれない。 しかし、だとしてももう遅い。手遅れだ。 「そうかな?……自分じゃよく分からないよ……」 真崎は桜野の言葉にも平然としている。 一度ナカに入れて以来、真崎は桜野の中が慣れるのを待っているのか、たまたまなのか、じっと動かずに止まっている。 それは桜野にとっては助かる事だが、限界に張り詰めているモノを撫でている手は止めて欲しい。 「…真、崎……手、離せ……」 「かなり濡れてるね……溢れてきそうだ……。それとも……もう、溢れてる?」 桜野のモノの先端を親指でなぞると、真崎は上下に擦り始めた。 「や……んっ…やめ…ろ…」 先走りですっかり濡れているそこを、構わず真崎は擦る。 グチュグチュと音が聞こえそうで。 集まっている熱を吐き出しそうで。 桜野は首を横に振りながら耐える。 「あっ、ん……止め……ふっ…んぅ……ま、さき…」 「可愛いね、桜野」 「ぅるさい……あ、や…」 「ねぇ……段々、楽になって来たでしょ……?」 真崎がゆっくりと円を描くように腰を動かした。 「あ……ん……はぁ…」 確かに、前から来る刺激に集中していたら力を入れていた後ろが緩んできて、真崎が中に入っている事を感じるようになってきた。 異物感が徐々に快感へと変わっていく。 桜野は無意識に真崎の動きに合わせて息を吐いていた。 「っあ……ん、やっ……」 「きた?」 「ん、あ……や、嫌……」 一度入っている真崎のモノを感じてしまったら、じわじわと襲ってくる波。 生温いそれは、桜野をゆっくりと攻める。 「……ナカ、締め付けてくる。気持ちいい?桜野」 「んんっ、違……」 自分が感じているという状況を認めたくなくて、桜野はかぶりを振る。 「前、出そうか……桜野」 そう言うと、真崎はゆっくりだった手の動きを速めた。 そして、打ち付ける腰の動きもゆったりしたものから速いものへと変わる。 「待っ、あ、やぁ…真、崎……ダメ、ん……あぁぁ」 ビクンと背を反り、桜野は浅い息を吐く。 「っ」 そして後を追うように、真崎も桜野の中に溜めていた迸りを奥へと吐き出した。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |