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◆Short Novels

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「あ、はっ、抜い、て……」

お願いだから。

佐藤は後ろへの変わらない指の激しい挿入に身体をのけぞる。
前後から聞こえる水音に、耳を塞ぎたくなった。


「動くなってば佐藤くん、っ」
「あっ、胸、止め……ひんっ」


それでも追って来る胸への愛撫に、喉ものけぞる。


「男なのに胸で感じるとか、佐藤くん女と一緒だねー」
「この中もめっちゃ濡れてるしな」
「もう戻れないね」


身体が女みたいの様だと言われてもそれは佐藤にとって大したダメージにはならない。
けれど、眼鏡の発言だけは的確に佐藤の心に棘を刺した。

確かにもう戻れない。
濱本に会いたくて会いたくて堪らないけど、会う前に死んでしまいたい。
こんな自分を見て欲しくない。
濱本の所に、戻れない。


「っあ、何で……こんなの」
「ん?何がー?感じることー?」
「んんぁ、違っ……はっ……」


首を横に振った。
聞きたいのはその事ではない。

けれど疑問を投げかけるより、先に声が紡ぐのは悶える言葉。
甘く吐息混じりの声は自分の耳へ戻って来てまた新たに棘を刺した。

前立腺を突く指は確実に佐藤のモノを高める。
縛られているにも関わらず先端からは蜜が零れて、達したくて堪らない。
早くこのせき止められている熱を吐き出したい。楽になりたい。

けれど胸への刺激は普段与えられる物と比べたら余りにも優しくて物足りない。
もっと強くもっと痛くして。
引っ掻いて摘んで弾いて痛みを与えて。
濱本みたいに、もっともっと……。

脳裏に浮かぶのは疑問よりも甘い毒。
けれど、それは一度言葉にしたら戻れなくなる毒。


「んぅ……あ、や……抜け、早く、抜けぇ」
「気持ち良い癖に変な事言うな、お前」


柔道部が不思議そうに言いながら、指をバラバラに動かして掻き回す。


「やぁ、も、や……抜いて、抜い、てぇ」
「素直に言ったらー?気持ち良いだろ?佐藤くん」
「っんあ!」
「な?」


譫言のように「抜け」と繰り返す佐藤に金髪ピアスは柔らかく手で血管が浮いているくらい張っているそれを包み、揉んだ。

正直気持ちいい。
欲しいままにねだって求めて、それが与えられたらどれだけ嬉しいだろうか。
きっとこいつらは面白がって惜しむ事なく与えてくれる。

けどそれは、佐藤からすれば絶対にあってはならない事だ。
まして、言葉に出して認めて、許しをこうなんて事は、それこそ許されない。


「どうせこいつは素直に言わないよ」
「っ、ぁ……も、や……」


眼鏡の言い出す事に2人は耳を傾けるが、佐藤だけはそこに意識を向けず首を横に振りながら快感から逃げようとする。


「感じてるのは事実なんだから、言葉なんていらない」
「何かすんのー?」
「普通の事だよ……」
「ひぁっ!」


眼鏡が何か言った途端、後孔から勢い良く指が抜かれて反動で漏らした声。
ガクッと頭を揺らして再び前に目を向けると、そこにいるのは金髪ピアスと柔道部。
常に見えていた眼鏡が、いない。


「何で、って言ったよね……」
「……何を、する気だ……」


血の気が引く。
嫌な予感しかしなかった。

振り返ろうとする頭は柔道部に邪魔をされ、弱味は金髪ピアスに握られて、これ以上の抵抗を許されないこの状況。
眼鏡が自分の見えない所にいるのが妙に怖かった。


「理由は後から教える。………何をする気かは、分かるだろ?」
「理由は、いらない……聞かない。だから……やめろ、今しようとしてるのを、やめろ」
「何で?大好きでしょ?」


引き抜かれた指。生まれた空洞。
熱いナカが更に熱く質量のあるモノが欲しいと訴える。


「やだ、やめろ、、」
「もう遅い……」


後孔にあてがわれたのは、指なんて細いものでも無機物でもなくて。
ドクドクと波打っている熱くて質量のあるそれ。
覚えのある、けれど全く覚えのないそれ。

待っていたと喜び内壁を動かす身体と、それだけは止めてくれと反発する精神。


「ほら、嬉しそうだ」
「やめ、ろ!それだけは、やめ、ろ!」
「うるさいよー、佐藤くん」
「やめろ、離せ!嫌だ!」
「こら暴れんなよ」
「うるさい死ね、離せ!やめ、ろぉぉぉ」


グリッとあてがわれたそれが音を立てて佐藤のナカへと侵入して引き裂く。
強引に体内を貫くそれはとても苦しくて息があがった。
いつも咥えているよりも遥かに優しく遠慮もあったのに、佐藤からすれば音を立てて押し入って来るそれに恐怖が生まれる。

指よりも太くて奥まで届くそれは佐藤のナカを圧迫させる。
慣れない形、慣れない侵入の仕方、腰を掴む知らない手、背後から聞こえる聞き慣れない息遣い―――全てが濱本と異なる。


「あ"あ"ぁぁぁ、」
「っ、やっぱキツい……」


佐藤の目から溢れる大粒の涙。
目を見開いて、ガクガクと震える身体。
差し込む薄暗い明かり。

快感を得ている身体よりも、絶望を得ている精神に落ち潰されて、死にたくなった。

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あきゅろす。
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