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◆Short Novels

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「あ、や、抜け、やめ、ろ…」

言葉で紡ぐのは拒絶の意志。
けれど身体の反応は肯定を示している。
自分でも分かるその矛盾に、佐藤は自分自身を嫌悪した。


「ローションのせいもあるけどグチュグチュ言ってんな」
「3本も咥えてる姿って凄いね……」
「なーんか乳首も尖って来てるね、佐藤くん?」
「っ、うるさ、い……やめ、ろ……」


指を埋められているナカはもっと、と欲しがって指を締め付ける。
奥まで突いて欲しくて、もっと激しく蹂躙して欲しくて腰が意識に反して揺れる。


「っ、気持ち、悪い……胸、やめろ」
「嘘言うなよ佐藤くん。ちゃんと尖って来てるし、前だってたくさん零してるよ?」
「は、気のせい、だろ……」
「強がってる姿は可愛いねー」


ヘラヘラ笑う金髪ピアスを睨むが、自分でも分かっていた。
触れられていない先端からはタラタラと先走りを零している。
それは、舌で胸を愛撫される事も指でナカを擦られる事も快感になっている証拠だ。

けどそれは、同時に佐藤の精神も黒く汚していく。

自分の身体だと認めたくなかった。


「っ、や……ん」
「何で声我慢してる?」
「……うるさい………っ」


遠いと思っていた声が近くで聞こえ、金髪ピアスとほぼ同じ位置に今眼鏡がいるのだと知った。
眼鏡は常に佐藤へ手を出さずに観客の立ち位置を維持してるから、それが逆に佐藤の見られたくないという気持ちを表へと引きずり出す。

間近でこの恥な姿を他人に晒している事実に羞恥を抱き、他人に犯されている事実に吐き気がした。


「もっと声聞かせてよ」
「っ」


そのまっすぐな眼鏡の瞳が、一瞬誰かに重なったのは佐藤の気のせいだ。
けれどたったその一瞬でも、佐藤の精神を更に底へ堕とすには十分だった。

濱本に見られている、と思ってしまった。


「ぁ、やだ……やめろ、見るな……あぁ」


グチュグチュと、指が入れたり出したりされる。
唾液で濡らし舌で突起を転がされる。
触れられていないせき止められている筈の欲望の先端から白濁が零れて床に溜まっている。


「んぁ、や、ぁ……んっ」


濱本以外からの刺激で乱れている汚い自分を見ないでくれ。
ごめんなさいと何度も心の中で謝る。
濱本からの愛撫で感じてしまうこの醜い身体。
気持ち悪くて不潔で不快な身体。


「っんああ」


不意に奥の前立腺が抉られ、背中がのけぞった。


「あ、そこなのか?前立腺、だっけ?」
「そうそう、それ」
「ならそこをもっと弄ってやらないとな」
「だめ、触るな……そこは、ダメ、だ」
「どこがだよ」
「ひぁっ」


グリッと全ての指で前立腺を狙って抉られて、快楽の波が身体中を襲った。
その波の激しさに、瞳から一滴の涙がこぼれた。
それが生理的な物からなのか、精神的な物からなのかは、自分では分からなかった。

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